1: 午後一時開議
◯議長(野田譲)これより本日の会議を開きます。
本日の日程は、お手元に配付いたしました議事日程第五号に記載のとおりであります。
────────○────────
日程第一
会議録署名議員の指名
2: ◯議長(野田譲)日程第一
会議録署名議員の指名を行います。
本日の
会議録署名議員には、会議規則第百十条第一項の規定により、田村稔君及び岡本あき子君を指名します。
────────○────────
日程第二 一般質問
3: ◯議長(野田譲)日程第二 一般質問を行います。
順次発言を許します。
まず、村上一彦君に発言を許します。
〔十七番 村上一彦登壇〕(拍手)
4: ◯十七番(村上一彦)民主クラブ仙台の村上一彦です。議長のお許しをいただきましたので、順次、一般質問をさせていただきます。
本日の地元紙に報道もありました旭ケ丘地下鉄駅隣に建設予定の複合型公共施設の見直しについて伺います。
平成十九年十一月から造成開始され、平成二十三年度開館予定の旭ケ丘駅前
公共施設整備事業が中断され、計画が大きく見直されることになりました。
平成二十六年度開館予定と、三年も延びた計画見直し理由として、地殻変動対策及び土壌、
地下廃棄物対策に相当の費用を要するためとなっています。この計画変更の内容と地殻変動対策、土壌、
地下廃棄物対策費の具体的内容、そしてなぜこんなことが起きてしまったのか、経緯も含めて御説明ください。
延べ床面積が約三割も減らされ、整備内容も大きく変わる計画になります。青葉区にだけなかった
障害者福祉センターを変更後も整備上このセンターに残し、計画にあった
身体障害者総合支援センターを泉区の
健康増進センターの運動スペースを縮小した場所へ移転予定ということでは、根本的な整備計画のコンセプト、目的、方針が全く違ってくるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
整備方針について、内容を確定する前の住民説明会に私も参加しておりましたが、さまざまな要望等を集約して、やっとのことで決定した整備計画であるのに、計画を縮小されるに当たり、近隣の方々に再度納得していただき、整備計画を決定するには、より丁寧な説明会とまた同じ時間を要すると考えますが、御所見を伺います。
しかも、地下に環境基準を上回る鉛、フッ素、ヒ素を含む産業廃棄物があることについて、市民の納得と安全性等は確保されるのでしょうか。御所見をお聞かせください。
また、もともとこの計画の整備事業費が四十三億円であるのに対し、地下をつくる現在の整備方針のままだと、土壌洗浄にプラス二十七億円の最大七十億円の費用、地下をつくらない見直しの整備費だと、土壌洗浄にプラス十億円の最大五十二億六千万円の事業費になってしまいます。
水族館の整備費に十億円を拠出することや敬老乗車証の維持について、けんけんがくがくの議論が交わされる中、しかも八千八百平米の延べ床面積を六千二百平米に縮小した上、土壌洗浄に推定十億円をかける詳細な説明もないまま整備計画を進め、十億円を右から左へ出すことに合理性、正当性があるのかどうか、大変疑問と思います。
企画市民局は、問題点を早急に取り除き、開業を待ち望む地域の声にこたえたいという見解のようですが、市民の期待を隠れみのにしてこのまま計画を進めることに何の疑問もないのか。市長は基本的にどのように考えられているのか、お聞かせください。
また、本件の場合、土地を売却した相手が、売買などの契約で、契約の目的物に隠れた欠陥があった場合、売り主などが負う担保責任、瑕疵担保責任に当たるのではないでしょうか。そもそも土地の取引に当たり、汚染土壌などが出てきた場合などの不測の事態に備え、売買契約に特記事項を設けるべきではなかったのか。なぜこの土地取引に瑕疵担保責任を付加しなかったのか、明解な御見解をお聞かせください。
調べていきましたら、この旭ケ丘の土地は、地下鉄工事で昭和五十七年に掘削が開始され、その時点ですぐに産業廃棄物が混入していることが当時確認され、燕沢地区その他に約二万五千立方メーターを廃棄したという驚くべき記録が残っています。そして地下鉄駅隣の公共施設用地の買収は、同じ昭和五十七年六月から開始され、紆余曲折ありましたが、平成十九年に買収が完了しています。産業廃棄物が確認された隣の土地を買収するのですから、この土地に汚染土壌が含まれることを予見できないはずがないと考えます。しかも調査も可能だったはずです。
十億円もしない土地に土壌洗浄に十億円もかかる、つまり市民に十億円の損害を与えた重大な過失があったと考えます。この過失の原因を解明し、きちんと市民に説明する義務があると思われます。本市の土地売買の契約に落ち度はなかったのか、この責任は一体どこにあるのか、また、今後も類似のことが起きぬよう新しいスキームをつくるべきではないかと思いますが、市長の御所見を伺います。
次に、
子宮頸がん予防ワクチンの費用負担について伺います。
子宮頸がんは、国内でも年間一万人以上が発症し、約三千五百人が死亡していると推計されるがんです。ワクチンによる予防手段があるため、予防できる唯一のがんと言われ、ワクチンの有効性は十年から二十年継続すると言われています。また、十二歳の女子全員が接種すれば、子宮頸がんにかかる人を七三・一%減らせ、死亡者も七三・二%減ると推計されています。
深刻な問題ながら、予防への関心が低いため、検診の受診率が約二〇%と低迷し、対策のおくれが指摘されている子宮頸がん。ワクチンの普及は、発症者を劇的に抑える可能性を秘めています。
この予防ワクチンは、二〇〇六年、アメリカでも初めて承認されて以来、約三十カ国や多くの自治体で助成が実施されており、昨年十二月に日本国内でもやっとこのワクチンの販売が開始されました。
この予防ワクチンは、三回の接種が必要で、全額自己負担だと約四万五千円かかります。現在、助成を計画している自治体は九市一町あり、新年度の予算に名古屋市、赤石市、大垣市などの九自治体で公費助成の予算を計上しています。
名古屋市の助成制度は、中学一、二年生の女子約二万人に対し接種費用の半額、約一億三千万円を助成する予定です。例えば本市の助成を試算しますと、中学一、二年生の女子約一万八千八百人に対して半額助成、接種率三〇%とすると、約九千二百万円と想定されます。
この子宮頸がんの発症を七〇%以上減少させることができることは、若くして子宮頸がんになり、子供を授かる前に子宮を取ったり、幼い子供を残して亡くなってしまうことなく、女性とその家族に幸福をもたらすだけでなく、子宮頸がん治療に要する医療費を大幅に抑制することができると考えます。公費助成の内容も、全額負担、半額助成などさまざまですが、以上をかんがみますと、費用的にもそれほど高くもなく、内容や効果的にも女性市長として検討に値する施策と思いますが、市長の御所見を伺います。
昨年九月の地元紙に、仙台市内の町内会が世帯数を水増しして、
町内会育成奨励金五百三十円を約四〇%の町内会が不適切に受給していたと、特定の町内会の名前を挙げて報道いたしました。
その後、仙台市連合町内会長名で、この地元紙への抗議行動として、新聞社に公開質問書を提出いたしました。
内容を簡単に要約しますと、新聞内容では、町内会は
加入世帯イコール申請世帯数という本来の原則とは異なる方法で申請していたとありますが、
町内会等育成奨励金の対象となる世帯数は、町内会規約等で規定している町内会のエリアにお住まいの方々すべてが対象で、町内会費を納入している世帯に限定されていない。貴社の判断が事実誤認であるというものでした。
新聞社の回答の要約は、
町内会費納入世帯数に見合った申請をしている町内会とそうでない町内会との間で奨励金受給状況に差異が生じることは不公平であり、市の支出姿勢として適切さを欠いているとの認識に立って紙面化したと回答いたしました。
本市が定める基準、加入世帯の考え方は、明確な非加入の意思表示をしたもの以外は加入の意思ありと解する。会費の支払い状況をもって会員の要件とするかしないかは町内会の判断とするという全くもって無責任な町内会への丸投げの見解です。すべては本市のこのあいまいな基準の設定が見解の違いにあらわれていると思います。結果として、
町内会加入世帯数と申請世帯数の差が市全体で一万世帯以上の差が出てくる事実を本市は認識する必要があると考えます。ほかの政令都市では本市の基準のようなあいまいな基準を定めているところはなく、この奨励金の申請数を町内会の判断に任せるという本市の考え方は、制度として適切さに欠けているのは事実であると考えます。こういった事実そごを起こさないために、本市はだれにでもわかる明確な基準を新たに示す必要があると思いますが、市長の御見解を伺います。
最後に、仙台まもらいだ
ーインターネット巡視事業についてお伺いします。
児童生徒が
インターネット掲示板上の誹謗中傷や不正な個人情報の掲載など、児童生徒に与える影響の深刻さや不登校の温床となることを考えれば、この取り締まりについて、学校単位では時間的にも技術的にも大変難しく、東京都江東区の例を挙げて、本市も取り締まりに本腰を入れてトラブルの未然防止を図るべきことを去年の第一回定例会で主張してまいりました。
来年度、緊急雇用対策費を利用して本市の新たな対応は評価いたします。しかし、新しいわずか二名の嘱託職員ですべての小中学校の監視に効果を上げることができるかどうか難しいと思いますが、この事業の本市のスキームを人件費、期間等も含め御説明願います。
また、不適切な書き込みの削除はできるだけ早く実施する必要がありますが、その対応策はどのようになるのかもお示しください。
また、この事業を通して、サイトの検索等の有効な技法を各学校が対応できるように指導体制を構築することにもなっているようですが、実際にすべての学校が同じようなスキルで運営できるかどうかは、各学校によって格差が出てくることが考えられます。学校格差がなく継続され、統一された指導体制が大切と考えますが、御所見を伺います。
以上で私の一般質問、第一問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
5: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの村上一彦議員の御質問にお答えを申し上げます。
旭ケ丘駅前公共施設整備についてでございますが、この複合的な施設は、地元の皆様の御要望を受け協議してきた経過を経まして、市民センターを初めそれぞれの施設の必要性にかんがみ、施設の整備を決定したものでございまして、市民の皆様からの御期待も大きいものと考えてございます。
今般の見直しでは、私といたしましても残念ではございますが、見直し後におきましても市民の皆様に十分に御利用いただけるよう、施設の適切な運営に留意してまいりますとともに、環境上の安全対策につきましても、周辺の方々にも安心していただけますよう、万全を尽くして事業を進めてまいりたいと考えているものでございます。
続きまして、
子宮頸がん予防ワクチン費用の助成についての御質問にお答えをいたします。
子宮頸がんは、女性のがんの中で乳がんに次いで二番目に多く、国内で年間一万人以上の方が新たに罹患し、最近では二十代から三十代の患者が増加しているものでございます。
子宮頸がんの多くはHPV、すなわちヒトパピローマウイルスが原因であることが明らかになっておりまして、多くの女性が
HPVワクチンの予防接種を待ち望んでいたところでございます。
昨年十二月、我が国においてもこの
HPVワクチンが接種できるようになったことは、私といたしましても歓迎すべきことと考えておるものでございます。
HPVワクチンにつきましては、アメリカ、イギリスなどの先進国では既に定期接種として実施をされておりますが、我が国におきましては、現在、厚生科学審議会で予防接種の評価と位置づけについて検討が行われていると伺っております。
本市といたしましては、
HPVワクチンに関する情報を市民の皆様に御提供するとともに、今後は接種費用の公費負担に関する国の検討状況などを踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
6: ◯財政局長(高橋亨)私からは、
旭ケ丘温水プールなどの整備予定地の用地取得に関する御質問にお答え申し上げます。
まず、用地買収に際しての
瑕疵担保責任特約でございますけれども、売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合には、民法に基づき損害賠償の請求を行うのが通例でございますので、契約にその旨の規定は設けていないところでございます。
用地取得は昭和五十七年から開始しておりますけれども、当時の公害対策基本法では地下水の水質や土壌などに関する環境基準が定められておらず、また、土壌汚染対策法の制定前でもございました。また、廃棄物処理法においても、すべての廃棄物の投棄が禁止されたのは、平成三年度でございました。土壌汚染や廃棄物の処理に対する当時の社会の認識も今日とは異なっていたものと考えられ、今日の視点、感覚から見て、当時の対応を評価することは難しいと考えております。
次に、今後の対応でございますが、用地の取得、処分に当たっての土地の調査指針を既に策定いたしておりまして、登記簿などによる土地履歴の確認、環境局が保有する
有害物質使用履歴データとの突合、地元での聞き取り調査などを行い、これらをもとに必要に応じ土壌、地質調査など、詳細な調査を実施することとしております。
今後は十分な事前調査を行いまして、公共用地取得後に問題が生ずることのないよう努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
7: ◯企画市民局長(瀬戸和良)企画市民局に係る二点の御質問にお答え申し上げます。
まず、旭ケ丘駅前
公共施設整備事業に関する御質問のうち、計画変更の内容でございますが、計画では、
旭ケ丘市民センター増設分のほか、温水プール及び健康福祉局所管の二つの施設を合わせた四施設の複合施設となっておりましたが、
身体障害者総合支援センターを現在の
健康増進センター内に整備することとし、残り三施設で整備する計画に変更したものでございます。
次に、これまでの経緯でございますが、本事業は、平成十九年十一月に造成工事に着手いたしましたが、南側民有地との境界に擁壁の設置工事を行っている最中に当該民有地において地盤変動が発生したことなどによりまして、現在、工事は中断しております。そして将来的にも確実な安全性を確保するための対応として、当該民有地を買収する方向で所有者と現在交渉中でございます。
また、事業用地内に廃棄物の存在が確認されましたことから、水質調査等を実施いたしたところ、環境基準を上回る有害物質が検出されました。計画では、地下を掘削する予定でございましたが、その処理には多大な費用を要することが判明いたしました。追加費用を極力抑えるには、地下の掘削量の削減が必要でありましたので、施設規模の縮小の可能性を検討いたしたところ、
健康増進センターの見直しにあわせ、
身体障害者総合支援センターについては
健康増進センター内に整備することが妥当ではないかとの判断に至り、ただいま申し上げましたような計画の見直しとなったものでございます。
次に、施設の整備計画の目的、方針についてでございますが、この公共施設につきましては、ただいま申し上げましたように当初計画におきまして市民利用施設と障害者施設、四施設の複合施設であることから、健常者と障害者が共有空間による新たなコミュニケーションの場の創出をコンセプトとしてきたところでございます。
今回の事業見直しにより、四施設の複合から一施設を除くことになりますので、施設が担う機能は一部変更となりますが、残り三施設整備のコンセプトは基本的にこれまでと同様のものと考えております。
次に、住民の皆様への御説明についてでございます。
今後、詳細が固まり次第、御説明の機会を設け、住民の皆様に十分な御理解をいただけるよう努めてまいりたいと考えております。
また、廃棄物についてでございますが、一昨年、事業用地地下水から環境基準を上回る有害物質が検出されましたが、周辺への影響はないものと判断しており、廃棄物との因果関係もはっきりしておりませんが、現在、学識経験者による検討会議を設け、廃棄物への対応方針につきまして精査をお願いしております。会議の検討結果を踏まえ、必要となる安全対策を講じることとしており、その内容につきましても近隣住民の皆様に丁寧に御説明してまいりたいと考えております。
最後に、
町内会育成奨励金についてのお尋ねでございます。
町内会等育成奨励金は、
地域コミュニティーの活性化のため、地域において日常的に活動している町内会の運営を支援する制度でございまして、その対象世帯は、会費納入状況をもって唯一の判断とするのではなく、それぞれの町内会において行事や日ごろの活動の対象としている、いわば実質的な町内会を構成する世帯を交付対象としております。
平成二十二年度の申請に当たりましては、仙台市
連合町内会長会とも協議を行い、申請世帯数の内訳を明記することにより対象世帯の明確化を図ったところでございます。
今後も仙台市
連合町内会長会の御意見を伺いながら、制度の趣旨を踏まえ、適切に実施してまいる所存でございます。
以上でございます。
8: ◯教育長(荒井崇)私からは、仙台まもらいだ
ーインターネット巡視事業に関する御質問にお答えいたします。
まず、当事業の概要ですが、本事業は、巡視員二名が
インターネット掲示板などを定期的に検索し、インターネットを介したトラブルの未然防止や問題の兆候の把握、また、削除依頼等の対応についての支援を行うものでございます。
平成二十二年五月から業務を開始し、
緊急雇用創出事業の実施期間の二年間を予定しております。
業務場所は、教育センターを予定しており、巡視員の勤務形態は週五日、一日六時間を考えております。巡視員は業務に必要な専門性等を十分考慮し、適切な人材を採用したいと考えております。
予算は、人件費が約五百二十万円、物件費と合わせ総額約五百八十万円となっております。
次に、不適切な書き込みの削除につきましては、特に緊急度の高い書き込みは、直ちに教育委員会がサイト管理者に削除依頼を行うとともに、学校に連絡します。それ以外の書き込みは、教育委員会が学校にその情報を伝えた上で学校が削除依頼を行います。書き込み者が特定される場合にはその名前を学校に伝えるなど、再発防止のために適切な指導が迅速に行うことのできる体制をつくってまいります。
最後に、学校における統一された指導体制の確立ですが、
インターネット掲示板などに書き込まれる不適切な情報はさまざまでございまして、検索された問題サイトをデータベース化するとともに、対処方法につきましても類型化を図り、各学校に情報提供をしてまいります。また、教職員に対しての具体的な事例を用いた研修を通しまして、対応力のスキルアップを図ってまいります。
この問題の抜本的な解決には、何よりも学校が児童生徒の状況を的確に把握し、再発防止、また、情報モラル教育の浸透を実現することでございまして、それが定着するような支援を行ってまいりたいと存じます。
以上でございます。
9: ◯十七番(村上一彦)旭ケ丘の件で再度質問させていただきますけれども、去年の暮れごろに近隣の方からお電話がありまして、工事がストップしていると。なぜストップしているのかちょっと調べてもらえないかということで、私は当局にお伺いしましたら、隣のアパートが二棟、地盤沈下して傾いている。それで今、工事が中断されているという回答を得たんですけれども、産業廃棄物のことは聞かされませんでした。
そうなんですけれども、この土地の売買をいろいろ調べましたら、地下鉄工事というのは昭和五十七年の夏前に開始されました。この土地の売買というのも同時期に始まっております。昭和五十七年、五十八年の冬前に地下鉄の掘削工事が終わりました。その間に産業廃棄物が判明したわけですけれども、土地の売買は五十七年六月、七月、五十八年三月、昭和六十年、平成元年、平成二年、平成十八年、平成十九年と続いております。十九年に完了しているわけですけれども、その間、産業廃棄物が出てきたのをわかっていながら買い続けるというのは、調査もするべきであったはずですし、絶対これは自治体として瑕疵があったと思います。常軌を逸していたのではないか。隣に産業廃棄物が出てくれば、隣にあるのは当たり前なので、これは調査すべきであったことと、私は重大な過失が仙台市にはあったのではないかと思います。
それで、契約のことなんですけれども、契約の相手方は学校法人、工務店等とか学校法人が同じ学校法人なんですが、かなりの金額を仙台市の税金を払っているわけですから、先ほど財政局長は、民法の適用があるので瑕疵担保特約はつけなかったというのであれば、今からでも法的措置がとれるのかどうか。相手が善意の第三者であるかどうかということも考えながら、法的措置もとれるのではないかということをまずお聞きしたいということと、市長にお伺いしたいのは、こういった土地取引があって、産業廃棄物を燕沢とその他と書いてあるんですけれども、二万五千立方メーターというかなりの数を廃棄しているわけです。それを一体どこに捨てたのかとか、これから調べる必要はないのか。それと産業廃棄物が出ているので、出てきているところの隣の土地を買い進めるということは必ず何かそれは理由があったのか、ちゃんときちっと市民の方に十億円という損害を、最低での推計ですから、全部洗浄、土地、土壌洗浄には二十七億円もかかるわけですから、その損害を市民に与えたということで、きちんと調べる必要があると思うんですが、その点をお伺いします。
10: ◯市長(奥山恵美子)旭ケ丘駅前公共施設用地の取得に関するさまざまな経緯、そしてまた、それについて調べる必要があるのではないかというお尋ねでございます。
旭ケ丘用地の取得につきましては、先ほど財政局長から申し上げましたとおり、その当時の法的な規制の状況等を勘案いたしますと、一概にこれが違法な状態を見逃したまま土地の売買の契約が進行したということではないというふうに理解をしておりますが、しかしながら、現時点におきまして、産業廃棄物とみなされるべきものが地下に埋設されているということはほぼ確証が近いと思いますところから、今後の施設の建設に向けまして、その産業廃棄物の周辺への影響、また、そうしたことの今後の対応等につきましては十分にこれを調査し、そして住民の皆様にも安心できるような形で対応を考えてまいりたいと思っているものでございます。
11: ◯財政局長(高橋亨)買収前の土地の使用者に対する損害賠償の請求ということでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、土地を取得した当時の法整備、社会認識等を考えますと、廃棄物が埋設されていたということをもって、現時点の目で直ちに土地に隠れた瑕疵があったということができるかは、なかなか難しい問題であるというふうに考えております。
また、時効の問題もございますので、損害賠償請求は難しいというふうに考えております。
以上でございます。
12: ◯十七番(村上一彦)私、あとお聞きしたのは、捨てた場所が燕沢とその他になっているんですけれども、それ、調べなくていいんでしょうかということもお聞きいたしました。
13: ◯市長(奥山恵美子)廃棄した場所につきまして、私は現時点で承知していないところでございますので、それについては可能な調査がございましたら取り組んでまいりたいと思うものでございます。
14: ◯議長(野田譲)次に、鈴木繁雄君に発言を許します。
〔四十三番 鈴木繁雄登壇〕(拍手)
15: ◯四十三番(鈴木繁雄)改革ネット・自民の鈴木繁雄です。議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
市長は、全国的には希有とも言える未来への躍動の機運が芽生え始めていますと、今の仙台市をとらえておられます。また、まれに見る人材都市であるともおっしゃっておられます。市長は、今の仙台の都市力というものをどのようにとらえておられますか、お伺いをいたします。
都市にとって最も大切で、かつ、必要なものをまさに市民力というもので表現されたものと思います。ほとばしる市民に内在するさまざまな知恵と力が具現化されることへの期待と信頼を持たれることは、為政者として最も大切なことであり、前市長との異なりを際立たせねばならぬ点はまさにこのことであるぞと受けとめさせていただきました。
市長の市民に対する信頼と期待のごあいさつは大変すばらしく感じ入りましたが、市長も述べられておりますように、今日の地域経済は先行きを見出しがたい極めて厳しい状況にあり、市民生活にも深刻な影響が及んでいるのが現実であります。
このようなときに、市長の言われる市民力を発揮または発動するには、市長の力強いリーダーシップと確実で正確な企画性と地道な基盤づくりが必要であると私は考えますが、いかがお考えになっておられますか、お伺いをいたします。
すなわち、都市力、まち力をアップする、まちづくりを強力に推し進めなければならないものと思います。市長は、仙台市のまちづくりをどのように描き、創造されようとしておられますのか、具体な提案を含めお取り組みになる姿勢を示しませんと、市長の決断とリーダーシップが必要とされる今日の市政運営において、都市力のアップにつながってはいかないのではないかと思います。
そこでお伺いをいたします。
担税力のある都市の形成に欠くべからざるものの第一は、中心市街地の活性化であります。仙台市における中心部商店街は、東北最大の商店街として、また、その集積度と集客力においては全国屈指の商店街であり、担税力の非常に高いまちとして仙台市の誇りでもあり、その存在は、我が仙台市にとりまして大切な存在であります。市長も、市民生活に還元できる大きなお金を生み出している中心商店街がいかに大切か、市民の皆様にもっと発信していく必要があるとお話をされておられますが、その中心商店街の現況を市長はどのようにとらえられておられますか、お伺いをいたします。
これまで仙台市では、中心部商店街の活性化対策としてさまざまな対応をされてこられましたことは、評価に値するところであります。
さて、昨年五月三十一日と六月五日に、仙台市と商工会議所が共同で、中心部商店街通行量調査を行いました。また、一昨年九月八日、十日、十七日の三日間、交通政策課が、市内中心部五十五カ所の歩行者通行量と百十五カ所の交差点通行量の調査を行いました。それぞれに大変貴重な、また、新たな資料を得ることができたようであります。
金曜日、中心商店街を三つのゾーンに分けての調査は、結果、仙台駅前二万一千八百五十人、前年二万五千五十九人、中央通四万一千六百十六人、前年四万七百五十一人、一番町通二万六千八十七人、前年二万九千四百五十六人、日曜日では、仙台駅前二万三千六百二十九人、前年二万五千六百九十五人、中央通四万六千七百二十九人、前年四万九千六百三十一人、一番町通二万七千六百二十七人、前年三万三千百九十六人。平成十七年の通行量を百とすると、金曜日、日曜日とも、すべてのゾーンで下回っておるとの結果でありました。その中で一番町通は、前年比で金曜日一一・四%減、日曜日は何と一六・八%減、日曜日の落ち込みは大幅でありました。
また、宮城県の商圏二〇〇九年版消費購買動向調査、仙台市居住者の買い物場所によれば、買回品全体を見ると、二〇〇六年、中心部で三九・一%、その他で四四・六%、二〇〇九年、中心部で三二・三%、その他で五一・六%となっております。
さまざまな調査及びデータを見ても、郊外地域での商業施設の出店展開により中心部商店街の集客力は急激に落ち込んできているのは明らかであります。特に一番町商店街における空き店舗の存在が大変気にかかります。また、多額の投資をして建てた新築ビル、路面店すら入居者が決まらない事態も生じております。また、本年に入り、仙台ホテルの閉店、東急ホテルの撤退、ほかにも中心部にあります複数のシティホテルの撤退、移転のお話も耳にしております。このようなことは、中心市街地、この仙台のまさに中心的役割を果たしてきた旧環状線内のまち力の甚だしい低下になるばかりか、仙台市の都市力そのものの低下につながるものであると大変危惧をするものであります。再開発事業を初め官民挙げての早急なハード整備の具体的取り組みが求められますが、いかがお考えですか、お伺いをいたします。
中心商店街の継続的繁栄にとって、南北線開業による環境の変化の影響は、大変大きいものがありました。東西線開業により予想されるさまざまな変化に対応するためにも、中心部商店街の集客力の向上を図るべくしっかりとした町並み整備を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。東西線が走り、中心商店街の集客力が戻り、集積が図られてこそ、都市の魅力の創出につながるものではないでしょうか。市長の御所見をお伺いをいたしますとともに、そのための具体的な対策がおありになるのか。また、いかなる対応の必要を感じておられるのか、御当局にもお伺いをいたします。
平成二十一年度仙台市施策目標調査、いわゆる市民アンケートの集計結果を見ましても、不十分だと思う施策の上位七位に商店街の活性化や地域産業の振興がランクされ、また、今後特に力を入れていくべきと思う施策の上位十位にも商店街の活性化がランクされています。
これまでの市政運営の中で、担税力のあるまちとしてまさに市政の支柱となってきた歴史ある商店街は、市民のアメニティーの場としても大切な百三万市民の宝物です。前市長を政策上しっかりと支えてこられた奥山市長でありますので、十分御理解は得られていると思います。より積極的な取り組みを求めるものであります。御所見をお伺いをいたします。
次に、旭ケ丘駅前
公共施設整備事業の見直しについてお伺いいたします。
まず、平成二十年度造成工事を起因とする地盤変動が発生したためとの経過報告がなされていますが、用地取得は、昭和五十七年から平成元年にかけて約九〇%を公社で取得をし、平成十九年にすべての用地が市によって取得完了されたわけであります。総額約十五億円、坪五十万円を超す土地であります。
実は私がこの壇上において議員として初質問をさせていただきましたのが、昭和六十二年六月十六日、同地区に建築される(仮称)青年文化センター新築工事請負契約の締結に関する件であります。四十六億円という仙台市政始まって以来の最大級の契約金額だったと記憶しておりますが、工事着工後、地盤の軟弱部分が発見され、翌年三月に約二億円弱の地盤強化のための追加工事費の予算が計上されたために、翌年三月十七日に再びこの壇上より質問させていただきました。
そのときの答弁では、地盤の中に一部流動性の地層が確認されましたので、基盤調査が不十分であったとしか思われない。いかなる事情によるものかと東北工業大学に依頼しまして調査をいたしました。基礎部分の地層分布が局部的に強い不規則性を有し、地質学的にも極めて特異な地層であり、掘削前では予測が極めて困難な状態であることが判明をいたしましたとの答弁でありました。
また、質問の準備中に私が知り得たことでありますが、地下鉄南北線建設においても、旭ケ丘駅トンネルの地質は盛り土土砂、砂れき、軟泥岩の三層に分類されることがわかったと記されており、注入剤を使用しての工事でありました。すなわちこの一帯は、大変複雑で特異な地層であるということです。多額の出費をしての経験と困難な工事を強いられた二度にわたる地質にかかわる体験をなぜ今回生かすことができなかったのか、特異な地質地帯であるとの認識はあったのか、なかったのか、お伺いをいたします。
また、過去のデータの存在記録などを見るなどしてから造成工事に着手したのか、お伺いをいたします。
また、今回の計画見直しに当たり、仙台市
健康増進センターのプールを廃止することが決められたようでありますが、その決定要因となった主なる理由を改めてお伺いいたします。
民間との競合との理由もお示しになったようでありますが、本施設には二十五メートル、幅十一メートルの温水プールの建設が予定されております。実は、本施設の整備計画が検討されたときにはなかった民間の大規模なスポーツクラブが隣接地であります南光台に建設され、大繁盛で営業しており、まさに民間施設と競合することになります。また、本施設と同様の内容とも思われます調理実習室、和室、会議室の多くが青年文化センターにあります。重複施設になるのではないか。基金を取り崩し、何とかやりくり算段で組まなくてはならないような厳しい財政事情の折、用地費を含め六十億円を超す箱物建設を今行わなくてはならないのでしょうか。今回計画の見直しをせざるを得なくなったこのときにこそ、ただ流れで事をなすのではなく、いま一度、検証精査を十分に行い、本当に必要なものだけにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、数カ月前になりますが、紙面に、市長が特別支援学級の不足に対して、村井知事に市内小学校の余裕教室の提供を申し出たことが掲載されました。結果として実現はいたしませんでしたが、さすが教育長を務められた方の御発言であると思いますとともに、以前、十数年前になりますが、藤井元市長が文化事業団の理事長のころですが、私が本会議で、空き教室を市民の財産として有効に活用すべきことを提案したことを思い出しました。当時まだ空き教室、余裕教室という言葉もない時代でありましたが、小中学校の生徒数が大幅に減少し始めたころでありましたので、日本全国同様の課題が持ち上がってきたのではないかと思います。その数カ月後に初めて文科省から空き教室、余裕教室の仕分け等について通達が来たと記憶しておりますが、藤井元市長から、大切な課題を取り上げられましたとのお便りをいただきました。市長になられた折にぜひそのことを実現してほしいと特別委員会で申し上げ、鶴谷小学校の空き教室をコミュニティ・センターに転用したのが空き教室転用の第一号ではなかったかと思います。
転用教室の効率的活用により、いささかでも市民福祉の向上に寄与することができれば、公共財産の有効な再活用となると思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
再活用による利益還元は無論、教育現場に再配分することにより教育現場の環境改善につなげることができ、教育現場の皆様からも御理解が得られるものだと思います。ぜひ転用教室の有効活用をより進めるべくお取り組みをお願いするものであります。
次に、市長は、新年度は行動する市民力発動の元年にしたいと述べられ、行動する市民力に大いなる期待と、ともに歩む御自分の政治姿勢を強調されております。
行動する市民力、まちづくりにエネルギーを出されております新しい鉄砲町通りをつくる会の方々が、二月八日、鉄砲町仙台市企画用地について要望を市長あてに提出されました。この団体は、駅東第二地区における市民団体である三つの団体の大方の方が重複参画されております。要望の中身は、アンパンマンミュージアム誘致についてであり、地元に対する十分な説明がなく、憤慨するほかない。今回の奥山市長の対応に疑問を持ち、誘致企業推薦に関しては反対の立場であることを表明いたしますとの内容であります。
地元に対して十分な説明がないとするならば、市長が殊さらに強調されておられる政治姿勢と現場で行われていることが相当に乖離していると言わざるを得ません。今後どのように対応されていかれるのか。また、水族館の例もございます。鶏が先か卵が先かわかりません。アンパンマンミュージアムは、二億円が先か、ぜひ仙台で事業展開をとの強い要望によるものなのか、また事業計画や収支見通しなど、事業者が民間がゆえに全く公表されないものなのか、少なくとも事業の継続性の見通しの状況など十分なる説明があってしかるべきと思いますが、いかがなっておられるのか。財政難の折、多額の税金と市民財産を提供するわけでありますので、市民とともに歩む市長が万全の説明責任を果たされることを求めます。改めて事業計画、地元まちづくりとの融合について、また、収支予測など、アンパンマンミュージアムなるものの説明を求めます。
さて私は、観光こそ大切な総合地場産業であると思います。いかに観光客入り込みを上げるか、各自治体がそれぞれに腐心しながら、知恵を出し合いながら、さまざまな情報発信に努力をされ、誘客と産品の紹介、販路拡大と企業の誘致に力を注いでおられます。先日行われました仙台都市圏交流会もそのような趣旨で開催されたものと理解するものであります。
ちょっと気になりましたのは、招待者にお持ち帰りいただいたお土産ですが、本市以外の製品でした。大変人気の商品で、私も大好物で時折買い求めますが、日本大使館主催のパーティーで総理が日本の観光、産業、商品の紹介をし、土産はヴィトンのバッグでしたと同じようなものでないでしょうか。法人市民税の納税者の一人といたしましても、いささかがっかりいたしました。
本題に戻ります。
現在、大方の県が東京にアンテナショップを構え、首都圏からの誘客並びに県産品の販売の開拓に頑張っておられます。さまざまな工夫をされておりますが、仙台市が今後、首都圏における地場産業の宣伝、広告並びに情報発信をどのようにされていかれるのか。情報は、発信するものではなく発信してもらうもの、いかにパブリシティーにのせるかがかなめです。マスコミ対策費を計上、さまざまな機会をマスコミ対象に行い、広告費ゼロの誘客企画を実施、功を奏しているところもあります。本市は情報発信のために新年度は首都圏においてどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
最後に、私学振興補助金の減額についてお伺いをいたします。
奥山市長は、新年度は私立小中学校へ振興補助金を半額に減額するとのことですが、当局の説明によれば、この二年間、見直しを行わずに維持してきたが、財政環境が厳しさを増している中で補助金の見直しについて避けて通れないこと、小中学校と高校では位置づけが異なることなどを理由として挙げておられます。
しかし、財政環境が厳しさを増しているとはいえ、教育にかかわる見直しにあっては特に慎重な取り扱いが必要であると考えます。市長は教育長もなされ、殊さら教育に対しては高い御見識があろうかと、百三万市民が当たり前のように受けとめておられます。よもや義務教育は公教育でなければならぬとでも思っていらっしゃるのではないとは思いますが、高校と小中学校の位置づけが異なるとはいっても、私立小中学校が義務教育の一翼を担い、よりよき教育をすべく立派な教育がなされ、特に小中一貫教育や中高一貫教育は私学が身をもって行い、長い歴史を持ち、教育効果のすばらしさと成果により大いに社会に貢献していることは、広く社会が認めるところであります。私学に対してどのような御見解をお持ちなのか、私学の振興のためにどのように取り組まれていくのかお伺いをいたしまして、私の一般質問といたします。(拍手)
16: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの鈴木繁雄議員の御質問にお答えを申し上げます。
仙台の都市力についての御質問でございます。
都市力は、経済力、人口集積の度合いなど、さまざまな要素が含まれた総合的なものであると考えられますが、私といたしましては、本市が誇る市民力もその中に含めるべきではないかと考えております。
現在の本市を取り巻く状況を見ましたとき、すぐれた人材の集積と創造的な諸活動が展開される土壌の上に競争力の高い産業の集積などの躍動の機運が加わり、本市の都市力を高める、またとない好機を迎えていると感じております。
私といたしましては、百万市民の行動する市民力こそがこの機会を生かすための原動力となるものと考えておりますので、市長としてのリーダーシップを発揮し、市民の皆様とともに知恵を出し合いながら、将来に向けたまちづくりの方向性を見定め、仙台の都市力がなお一層高まってまいりますよう努めてまいりたいと考えてございます。
続きまして、中心部商店街の活性化と町並み整備についての御質問にお答えをいたします。
本市の中心部商店街は、歴史と伝統を継承しながら発展を続け、東北随一の商業集積を誇る本市の顔でございますとともに、県内はもとより近県からも多くの来訪者が集う文化と交流の拠点でもございまして、仙台の地域経済の振興と雇用の創出に大きく貢献してきたものと認識をいたしております。
しかしながら、郊外型大型店やネット販売等との競争の激化、現在の経済不況による個人消費の低迷、さらには人口減少による購買力全体の低下など、中心部商店街を取り巻きます環境は非常に厳しく、空き店舗の増加や通行量の減少といったデータにも顕著にあらわれてきているように感じております。
このような状況は、御指摘のとおり都市としての活力の低下につながりかねない危惧すべきものと私も考えてございまして、東北の中枢都市にふさわしい都市機能を備え、広域集客力のある回遊性の高い商業空間の形成が求められているものと認識をいたしております。
地下鉄東西線の開業に向けた都市の胎動は、都心の再生と機能強化に向けた千載一遇の機会と承知をしておりまして、中心部商店街を含めた魅力的な町並みの整備に向け、力を注いでまいりたいと考えているところでございます。
さらに、本市が将来にわたり持続的に発展していくためには、行政、商業の皆様、市民の皆様と知恵を出し合いながら御一緒に行動を起こしていくことが重要と考えておりまして、今まさに商店街の方々に御参加をいただきながら中心部商店街活性化プランの策定を鋭意進めてございますけれども、これをベースにしながら、仙台の活力の源泉である中心部商店街の魅力と集客力のさらなる向上に向けて積極的に取り組んでまいる所存でございます。
続きまして、アンパンマンこどもミュージアムについての御質問にお答えをいたします。
アンパンマンミュージアムの誘致につきましては、一昨年の八月に本市としての誘致方針をお示しいたしました段階から、地元の皆様にもその旨、御説明をさせていただいておりましたが、十分な説明がないと感じておられる方々がいらっしゃるという点につきましては、真摯に受けとめるべきものと考えてございます。
したがいまして、今後の事業展開に当たりましては、これまで以上に地元の方々との話し合いの機会を設けるとともに、地元のまちづくりと調和がとれた施設となりますよう、事業者とともに努力してまいる所存でございます。
次に、私学に対する見解についてでございますが、私学は公立と異なり、それぞれ独自の教育の理念を有し、これを具体的に実践していくための教育方針のもと全人教育を行っている教育機関として、本市の教育において非常に重要な役割を果たしていただいているものと認識をしております。
私立学校があることは、学校を選択する幅が広がるといった点で重要なものでございますし、とりわけ私立の高等学校につきましては、中学校の卒業生の進路保障といった点でより重要な位置づけがあるものと考えてございます。
一方、本市の財政は大変厳しい状況にございますことから、私立の小中学校への助成を減額することはやむを得ないと判断をしたところでございまして、御理解を賜りたいと考えるものでございます。
独自の教育理念と教育方針のもとで学びたいという市民の皆様の思いや、私学が本市の教育に果たしております意義を十分に認識をいたしました上で、私学の教育環境の充実が図られるよう引き続き支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
私からの答弁は以上でございますが、残余の質問につきましては関係の局長からお答えを申し上げます。
以上でございます。
17: ◯企画市民局長(瀬戸和良)私からは、二点の御質問にお答え申し上げます。
まず、旭ケ丘駅前公共施設整備計画の検証、精査についてでございます。
本計画の特徴といたしまして、健常者や障害者の市民サービスが複合している施設として、だれもが心地よい楽しい感覚を共有できることを整備基本計画の目標としているところでございます。これを実現するために、温水プールには車いす利用者がスムーズにプールへ移動できるよう配慮するなど、施設全体としてユニバーサルデザインに基づく計画となっております。
さらに、本事業地は、地下鉄駅バスプールとも隣接しており、交通バリアフリーにもすぐれた立地となっておりまして、多くの市民の皆様に御利用いただける施設になると考えており、新たに温水プールを整備するにふさわしい場所であると考えております。
また、市民センターの調理実習室等につきましては、これまで旭ケ丘市民センターにはない機能でございまして、地元からの強い要望もあり、計画いたしたところでございます。
本施設は、地元の皆様を初め多くの市民の皆様からの御期待も大きいものと考えておりますことから、今後、市民の皆様の御意見を伺いながら、今回の見直しに基づき事業を進めてまいりたいと考えております。
次に、アンパンマンこどもミュージアムに関する御質問のうち、事業概要と収支についてお答えを申し上げます。
本ミュージアムは、体験型のミュージアムのほか、交流のための広場やキャラクターグッズを販売する部分などで構成される施設でございます。また、収支につきましては、十年程度で初期費用を回収する予定と伺っております。
本市といたしましては、誘致によって得られる経済効果や子育て世代に喜んでいただけることに加え、市内の多くの企業も出資の意向を示していること等を勘案し、仙台市としても事業への参加を決定したところでございます。
今後、事業展開に向けまして、市民の皆様の御理解と御協力をいただく努力を続けてまいりたいと考えております。
以上でございます。
18: ◯健康福祉局長(上田昌孝)私からは、
健康増進センターのプール廃止の理由についての御質問にお答えを申し上げます。
健康増進センターは、平成四年の開所以来、市民に運動の場を提供するとともに、健康リスクを抱える市民等を対象に健康づくりの支援を行ってまいりました。
これらセンターの機能のうち運動の場の提供機能につきましては、周辺地域における民間の運動施設、いわゆるフィットネスクラブの整備状況から公的役割は小さくなっているものと認識しておりまして、プールなどフィットネスクラブと競合する運動の場につきましては、廃止する方向で見直しすることといたしたところでございます。
以上でございます。
19: ◯経済局長(渡邊晃)首都圏における情報発信についてお答え申し上げます。
効果的な情報発信をしていくためには、議員御指摘のようにさまざまな手段によって情報を提供するとともに、マスコミに取り上げられるような取り組みを積極的に進めることが重要であると認識をいたしております。そのため、昨年度のデスティネーションキャンペーンや本年度の伊達な旅キャンペーンの開催に当たりましては、JRの主要な駅へのポスター掲出やガイドブックの作成など、多様な宣伝、広報手法により、首都圏等に向けて本市の魅力の発信や誘客に努めてまいりました。また、映画、重力ピエロ、ゴールデンスランバーと連携しての本市のPRにも取り組んでまいったところでございます。
新年度におきましては、女性向け雑誌を活用したメディア活用プロモーションを継続して実施してまいるほか、新たに企業が社員や顧客を対象に実施する、いわゆるインセンティブツアーを誘致するためのプロモーションなどを予定をいたしております。
今後とも、マスコミに取り上げてもらえる、より効果的な取り組みや情報発信に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
20: ◯都市整備局長(中村克正)中心商店街活性化の具体的対策及び旭ケ丘駅前
公共施設整備事業に関する御質問にお答えいたします。
初めに、中心商店街の活性化策に関する御質問のうち、東西線整備を契機とした町並み整備の具体的対応についてお答えいたします。
東西線の整備効果を最大限に生かし、商店街の集客に向けたにぎわいや魅力を高めていくため、再開発事業を初めとするハード整備や魅力的な町並み整備等による活性化を図るとともに、現在、策定を進めている中心部商店街活性化プランと連携しながら、東西線沿線まちづくりの基本方針に掲げる各種施策に取り組んでまいりたいと考えております。
具体の取り組みといたしましては、(仮称)一番町駅や仙台駅周辺地区におきまして、駅出入り口を生かした市街地再開発事業の推進や総合設計制度などを活用した土地の高度利用の誘導、青葉通における道路空間の再整備や沿道景観の誘導などを一体的に進めることにより、回遊性の高い魅力的でにぎわいのある町並み形成を図ってまいりたいと考えております。
次に、旭ケ丘駅前
公共施設整備事業の造成工事における事前調査の手法等についてでございます。
設計及び工事を進めるに当たりましては、青年文化センター新築工事等での地盤調査や工事変更経過等の資料を確認いたしますとともに、別途、地盤調査を行い、その結果を踏まえた基礎構造や工法を選定したところでございます。
今回の南側民有地の地盤変動につきましては、擁壁の設置工事を行っていた際に、地盤調査で確認できなかった亜炭鉱跡の空洞部に起因するものと考えております。
以上でございます。
21: ◯教育長(荒井崇)私からは、小中学校の転用教室に関するお尋ねにお答えいたします。
教育委員会では、各学校の転用教室の使用状況の把握に努めてございますが、現在、転用教室は、校舎の建設時点では確保できていなかった特別教室、また近年、特に力を入れてございます少人数指導のための学習スペース、また、児童生徒を取り巻く環境変化の中で重要性が高まっておりますカウンセラー等による相談室、こういったものとして多く利用されてございまして、それぞれ有効に活用されてございますが、これらの部屋の使用頻度などにつきましては学校によりましてさまざまであることも事実でございます。
今後は、こういった利用実態の把握を行いながら、子供たちの教育環境に支障を生ぜず、学校現場からも理解が得られるような進め方で学校施設の有効活用につきまして検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
22: ◯四十三番(鈴木繁雄)すみません、再質問をさせていただきますが、最初に、地盤調査の確認調査で確認ができなかったという御答弁がございました。実は、青年文化センターを建設するとき、地盤強化のために二億円の追加予算をとったということのお話を先ほどいたしましたけれども、このときもそうなんですよ。要するに地盤調査が不足してだめだったと、見つけられなかったということで、今回も、地盤調査で確認できなかったと。今回の地盤調査は、それでは普通のところの地盤調査より念を入れての多くの箇所づけで地盤調査をなさったのかどうなのか、その点をまずお聞きをいたします。
それからもう一つ、すみません。私立小中学校の教育振興補助金に関してでございますけれども、市長さんの御答弁で、いわゆる財政上、非常に厳しいので、それで減額をしたと。これは予算、大変厳しゅうございます。その中でのいささかの減少というのはやむを得ないものだというふうにも理解しなくてはいけないものかとは思いますけれども、余りにも急激な減額、五〇%の減額ですよ。これは大変なことだと思いますね。やはり私は、私立小中学校の教育というものは、先ほど申し上げましたけれども、小中学校の一貫教育もしくは中高の一貫教育、この教育成果というのは公立ではできなかった教育手法でございます。その成果というものは大変すばらしいということで、これは着目をされ、そして最近、公立の中学校、高校でも中高一貫教育というのを取り入れて、何とか教育の実を上げようということで、今盛んに各地で取り組まれ、仙台市でも始まったわけでございます。
そういう意味からすると、やはり市長さんといたしましては、もう少しこの私立の小中学校の教育というものの御理解を賜っての対応が必要じゃないかというふうに私は思いますので、もう一度、恐れ入りますが、私立の特に小中学校の御認識について御見識をお述べいただければと思います。
23: ◯市長(奥山恵美子)私立の小中学校の教育に寄せる貢献ということにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、さまざまな建学の精神等に基づき全人教育を行っているということでございまして、大変貴重な学校教育の振興に寄与していただいているものと認識をいたしているところでございます。
そうした私立の小中学校の方々への運営の補助金という形では、先ほども御答弁申し上げましたとおり、昨今の大変厳しい行財政環境の中、段階的に減額をこれまでもお願いしてまいりまして、このたびも二年をかけて経過的に減額していくことにお願いを申し上げているところでございます。
しかしながら、こうした私立教育の小中学生の方の教育環境の充実という面では、教育委員会におかれましても、まださまざまに御支援したいというプランも現在検討中と聞いておりますので、具体の中でそうしたことができるようになるよう、また私も、教育の環境の充実に向けて努めてまいりたいと、そのように考える次第でございます。
24: ◯都市整備局長(中村克正)旭ケ丘駅前の造成工事に関する再質問にお答えいたします。
青年文化センターの工事の件でございますが、ここに関しては、地層に連続性の欠ける乱堆積層ですとか、あるいは未固結でルーズな砂層が主な原因となって手戻りを生じたというような結果を確認いたしております。
それに対しまして、今回の調査におきましては、基本的にはそういった砂層ではなくて泥岩層、つまり泥の岩、泥岩層が支持地盤に出てまいりまして、その中に十五センチほどの亜炭層がまじっていたわけでございますけれども、そこが空洞になるというふうに私どもは理解できなかったと。また、ボーリング調査におきましてもそういった空洞は確認できなかったことから、先ほど私がお答えいたしましたように、亜炭鉱跡の空洞部については発見できなかったことから、このような地盤変動を生じたものというふうに考えております。
25: ◯四十三番(鈴木繁雄)大変すみません。ただいまの御答弁でございますけれども、私が強調したい、お聞きしたいというか、皆さん方の対応がいささか不十分でなかったのかというふうに思っておりますのは、先ほど申し上げましたけれども、青年文化センターの建設のときに質問して、そしてその答弁のときにも出ておりますとおり、東北工業大学の調査結果が、地質学的にも極めて特異な地層であると。地層というのは、ポイントだけじゃないと思うんですね。地層というのは、連続性とかその周辺のいろいろさまざまなところがあるというふうに考えるのが普通、常識じゃないかと思うんですよ。私、専門家ではございませんけれども、地層ですからね。そうしましたら、この辺のいわゆる地質調査とかなんかするときには、特段にやはり注意をして、普通のボーリングを五カ所するんであれば十カ所ぐらいするとか、そういうような注意をもう少し払うべきじゃないかと。こういうことのもとの経験を十分に生かし切れなかったんじゃないかということを指摘したわけでございます。
そういうようなことですので、今後やはりこういうような地歴であるとか、やはり皆さん方が御苦労なさったことであるとか、そういうことをしっかりと過去に振り返って、そしてまた、その経験を有効に生かしていただきたい、これについてもう一度御答弁、その点を含めて御答弁をお願いいたします。
26: ◯都市整備局長(中村克正)青年文化センターでの工事につきましては、工事経過、変更の経過等につきまして、私どもも資料をかなり確認いたしたところでございます。
しかしながら、今回の工事につきましては、地層として若干異なっていたというとらえ方でございまして、そのことから、確かに御指摘ありましたように、かなりのピッチで調査をすれば空洞等の発見もできたのかもしれませんけれども、ただ、いわゆる費用対効果を考えた場合には、かなり細かいピッチでの調査というのはなかなかできかねるというのが私どもの見解でございまして、ただ、このような事態を招いたことにつきましては、なお今後のあり方につきまして教訓として生かしてまいりたいというふうに考えております。
27: ◯議長(野田譲)次に、嶋中貴志君に発言を許します。
〔二十二番 嶋中貴志登壇〕(拍手)
28: ◯二十二番(嶋中貴志)公明党仙台市議団の嶋中貴志です。議長のお許しを得ましたので、市民の命を守る災害復旧と仙台の将来に思いを寄せ、一般質問をさせていただきます。
財団法人道路管理センターが運営する道路管理システムへの加入についてお伺いいたします。
平成十八年の第三回定例会、一年後の平成十九年第三回定例会と、過去二回この問題を取り上げ、加入を迫ったものですが、改めて申し上げますと、この道路管理システムは、旧
建設省の指導のもとに国家プロジェクトとしてシステム構築や整備が進められ、同管理センターと国、都、政令市、特別区の道路管理者及び上下水道、交通、電信電話、電力の関係公営事業者が共同で開発、運用されてきたものです。
道路管理システムは、道路や地形、施設などの図形データとさまざまな数値、文字データを一元的に管理し、道路、地形データベースと占用物件データベースを道路管理者と公益事業者が共有して使用するシステムです。
道路管理システムのデータは、道路占用物件の位置、状況などが共通の平面直角座標系でデジタル地図化され、センター、各支部のコンピューターに格納されます。基本図となる道路地形情報のベースマップは、縮尺五百分の一の道路台帳図等を原データとして作成し、道路、地形データベースにします。各公益事業者は、センターからベースマップの提供を受け、これに基づいて各自の占用物件情報の入力を行い、占用物件に格納します。道路、地形データベースには、道路データとして車道、歩道などの道路施設情報の図形データや設備番号、路線番号などの属性データと行政界、街区、家形などの地形データを格納しており、占用物件データベースには、管路やマンホールなどの占用物件を線や図形で表現するとともに、埋設位置や管路の属性に関する情報をデータとして格納しています。これらのデータベースは、道路、地形占用物件等について個々の図形データとその属性データを最小単位として構成されています。また、これらのデータは、データの入出力を容易にするため、種類別にレイヤ、いわゆる階層に分類され、体系的に整理されています。
この道路管理システム導入は、昭和四十五年に発生した大阪市の地下鉄工事の際、大規模なガス爆発事故が発生し、死傷者三百人を超える大惨事が起きたことに起因しています。事故発生に対する大阪地方裁判所の判決は、工事会社の責任だけではなく、公共工事発注者としての監督責任、ガス供給者としての管理責任まで追及し、三者共同責任であるとの新しい判決が出されました。このことが発端になり道路管理システムの考え方が導入されたわけです。
この道路管理システムの有効性は、通常では道路工事の調整業務や道路に関するデータベースのセキュリティー等にありますが、最大の有効性は、平成七年に発生した阪神・淡路大震災の復旧で威力が発揮されました。当時、大阪市には管理センターの関西地区支部のホストコンピューターがあったため、神戸市役所の事務機器はほとんど倒壊していたにもかかわらず、地震発生後七日にして復旧活動の支援が開始されました。災害時の有効性は、当初管理センターがスタートしたときは予想していなかったようですが、復旧への大きな力となりました。
もし仙台市が、阪神・淡路のような大震災に見舞われたとき、例えばボランティア支援のために数多くの避難所の位置図を作成、刻々変化する道路通行不能箇所の整理が、札幌市や東京都で直ちに対応できるものです。仙台市役所の道路台帳や上下水道、ガスのデータが破壊されても、道路管理システムに加入していれば、他都市からの応援が可能になるというものです。平成十五年度で、札幌市を初めとする十一の政令市はすべて加入し、後に政令市になった千葉市も加入しております。
このような内容、状況であり、御当局のお考えをお聞きしてきたわけですが、平成十八年のときは、加入要請を受けたが、システム構築と運営に多額の経費を要すること、一部事業者が加入に消極的とのことで加入はしなかったが、システムの有効性は阪神・淡路大震災などで確認されているので、加入都市の運用状況を調査等し、改めて検討するとのお考えを示していただきました。
検討するということなので、冒頭申しましたとおり一年後にお聞きしたところ、災害発生時の有効性については一定の評価を認める一方で、システムの構築及び維持に係る経費が大きな負担となっているとの意見があったこと、また、各占用者は独自のシステムで対応可能であるとの意見が寄せられているとの御回答でありました。
さて、私も改めて調査いたしましたが、最後に加入した千葉市では、運営経費は約二億円、各占用者の合計が約一億円とのことでした。通常のデータベース化の際、センター側で行う新たな仕組みを構築しており、道路管理者側のさらなる負担軽減になっていました。昭和六十一年の発足以来、進化を遂げており、経費負担も今後軽くなるとの意見もありました。
また、各占用者は、独自のシステムで対応可能であるとのことでしたが、これはそれぞれ自分の範疇でできることはするということで、ある意味、責任逃れになっているのではないでしょうか。災害対応というのは、予期せぬ出来事が起こります。その際、災害情報の共有化、復旧工事の調整、復旧情報のリアルタイムの共有化と、平常時は道路管理システムとして、災害発生時には災害対応システムとしてハード、ソフトの効率的な活用が実現するこのシステムの導入は必要不可欠と考えますが、御所見をお伺いいたします。
さて、二十年後の仙台のまちの姿はどのようになっているのでしょうか。本年はちょうどその骨格となる基本構想の見直しです。平成七年に総合計画策定本部が設置され、全市民アンケート調査、各界各層、有識者調査、審議会の議論を経て、平成九年に市議会で基本構想が議決されました。二十一世紀を目前とした当時、半世紀、五十年後を目標に時代の転換期を乗り越え、二十一世紀を切り開く、希望に満ちた仙台をつくるために策定されたわけです。
その指針として、四つの都市像を掲げました。一つは、やすらぐまち、やさしさと健やかさに満ちた市民のまち。二つ目は、うるおう杜、地球環境時代を先導する悠久の杜の都。三つ目は、にぎわう都、地球的交流の要となる新しい中枢都市。四つ目は、かがやく人、未来を創造する世界の学都です。すばらしい構想であり、心から敬意を表するものであります。
あれから十数年、見直しのときを迎えたわけですが、どのように総括されているのか、まずお伺いいたします。四つの都市像はそれぞれ必要であり、先人が築き上げた仙台の悠久の歴史をまとめ上げ、表現していると思いますが、骨格、一本筋を通すという点で散漫になっているような感もあり、仙台はこういう都市ですと言えるものにするべきとも考えます。ある意味、個性と言ってもよいのかと思います。
さて、ここで、奥山市長は、仙台の個性は、と聞かれたら何と答えますか、お伺いいたします。個性は、とらえる側によってさまざまな答えがあり、一概には言えないのかもしれません。ただ、間違いなく人間の営みによって、よりよく住むために仕組みをつくり、サービスである道路や各種施設をつくってきた結果としてそれぞれが感じるわけです。以前、都市の個性は単発なものでは表現できず、相対的なものであるし、長い歴史や物語がつくられ、建築物や構築物をつくり、事件や産物、祭りなどを通して個性が磨かれ、その個性が都市の景観として表現されるときに、市民にとっても来訪者にとっても感動を与える美しさになるとお聞きしたことがあります。この方は、個性が景観として表現されるときとおっしゃっています。先ほどの四つの都市像と現在の仙台の町並みを見ると、なるほどと思い、共鳴するところであります。古都と言われる京都、奈良を見ても納得いたします。近年の例でも、長浜市の黒塀、湯布院等もしかりであります。また、別の角度から見ると、これらの都市は都市間競争という点でも勝ち組ではないでしょうか。さらに、市長が重視している市民協働という点でも、極めてすぐれています。
このように、景観というものは精神性があらわれ、市民協働の中で時間をかけて形成されていくもので、将来を見据えたとき、極めて重要な視点であると強く申し上げるものです。今回の総合計画の見直しでこのような考えをぜひ反映されるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
この景観を所管するのは、仙台の場合、都市整備局計画部に都市景観課があります。他の政令指定都市を見ると、京都市は都市景観部と部の扱いになっており、九都市が単独課です。他の課併設が五都市、係単独が四都市で、仙台は進んでいる方であります。京都を初め景観を大事にしているところは、現在、魅力ある都市になっています。
仙台の場合も、先人の英知により、戦前、藩政時代からの屋敷林や寺社林が多くあり、広瀬川や青葉山等、豊かな自然が囲んでいたことから、いつのころにか杜の都と呼ばれ、第二次世界大戦の大空襲で緑を焼失したものの、戦災復興事業によってケヤキ並木が植林され、現在の町並みが形成されました。
事務的には、昭和四十年代後半、全国でもいち早く杜の都の環境をつくる条例、広瀬川の清流を守る条例を制定し、環境保全に取り組み、市民からも梅田川浄化運動のような自発的活動が起こり、平成七年に杜の都の風土を育む景観条例を策定いたしました。平成十七年六月には国も景観法を全面施行し、それに基づき、平成二十一年三月に仙台市「杜の都景観計画」が策定されました。後半戦はちょっと足踏み感があったかとも思いますが、本市の取り組みは、過去の財産を受け継ぎ、先進的な取り組みになっております。
このように、景観を大事にしていくことは極めて重要で、国がすべて一律にできるものでもなく、地方自治体独自の政策であり、都市間競争という観点からも京都を初めとする現在の都市の魅力を見ればわかるように、また、地方分権が言われている今こそ、積極的に取り組まなければいけないと私は思います。
総合計画を見ても、かかわりの多い分野でもあり、危機管理室のように局横断的にできる組織を考えるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
最後に、先ほど仙台の個性についてお聞きしましたが、市長の目指すまちづくりとは、手法ではなく結果としてどのようにお考えなんでしょうか。つまり目に見える形であらわすことです。目に見えるものというと、都市計画の方針の中で最後に都市空間形成の方針があります。ゾーンごとに方針を立て、自然環境ゾーン、市街地ゾーン、都心、道路、軌道系交通機関等が配置されている図です。色分けされていますが、緑と黄緑が大半で、都心部分が赤丸、道路、軌道系交通機関が線と点線でよくわかりません。総合計画に景観の視点、また担当部局の拡充を求めましたが、将来のまちづくりを市民の方々にわかりやすくあらわすことは必要ではないでしょうか。本市の皆様は、杜の都仙台に対する意識が高く、伝統とも言うべき素養があります。具体にわかる材料を提供することは、市民協働を声高に言うのであれば、その材料を示すことは行政の責務と考えます。お考えをお伺いして、一般質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
29: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの嶋中貴志議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、現行基本構想の総括についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり本市は、現行基本構想において四つの都市像を掲げておりますが、これまでを振り返ってみますと、地方行財政環境が大きく変化する中にありましても、地下鉄東西線の着工を初め、保健福祉施策の着実な推進や地球環境問題への幅広い対応、そして市民公益活動の促進など、本市の将来を確かなものにする取り組みを全力で続け、都市像の実現に向け着実に歩んできたものと考えております。
しかしながら、一方では、策定後、十数年の経過によりまして、人口減少社会の到来や少子高齢化のさらなる進展、低炭素社会に向けた国際的な新たな機運の高まりなど、我が国や本市を取り巻く状況は当時の予想を超えて大きく変化をしておりまして、改めてこれからの将来を見通した見直しを行う必要があるものと考えているところでございます。
また、先ほどお述べになりました四つの都市像の核となる仙台の個性についてでございますが、この四つの都市像は、仙台のこれまでの歴史的蓄積としての健康都市の風土づくり、杜の都の風土の涵養、中枢都市の機能の拡充、学都の知的資源の涵養といったようなところからその四つの都市像が導かれてきたものと私自身は受けとめてございますけれども、それをさらに淵源をさかのぼって考えてみますと、歴史的城下町としての仙台、その中に培われた屋敷林の光景、また、幕末期におけます大槻磐渓等に代表される学を志向する資源、そうした歴史的な精神性、城下町としての気風、風格といったものが仙台の個性を形づくる大きな土台になっているのではないかと思っているところでございます。
そうした広い意味での先人の歴史的な遺産に十分に恩恵を受けながら、しかしながら、これからの新しい時代環境を正面から見据え、歴史的な土台の上に魅力ある二十一世紀の都市づくりを目指して今後の基本構想の見直しに取り組んでまいりたいと思うものでございます。
また、続きまして、将来のまちづくりを市民の皆さんにわかりやすくお伝えすることについてのお尋ねでございました。
市民の皆様が主体となるまちづくりを推進してまいりますためには、本市の将来像を示した総合計画の内容を市民の方々にも共有していただくことが不可欠であると考えております。新しい総合計画につきましては、現在、総合計画審議会において多面的な議論がなされてございますが、来年度は、市民の皆様にそうした中間的な成果を踏まえ、幅広く御議論、御意見をいただく段階となってまいりますので、皆様の御議論に資する資料の提示の方法につきましては、改めて視覚面、また表現上も工夫を凝らすなど、本市の将来像をわかりやすくお示しできるように努めてまいりたいと考えるものでございます。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
30: ◯都市整備局長(中村克正)都市景観についての御質問にお答えいたします。
初めに、景観づくりの視点についてでございますが、景観形成は、将来を見据えた魅力ある都市づくりを進める上で極めて重要な視点であると認識いたしております。
本市は、これまでも杜の都の風土を育む景観条例に基づき、市民とも連携しながら定禅寺通や宮城野通における景観形成地区の指定や景観重要建造物の指定等を行ってまいりました。このような取り組みは、市民がまちを愛する思いを景観という形で都市の個性を守り育てていく姿をルールとしてまとめたものであり、今後もこのような市民協働の取り組みを継承し、杜の都の景観形成が図られるよう、総合計画を策定する中で十分論議していただくよう努めてまいりたいと考えております。
次に、局横断的な景観所管部署の設置についてでございますが、景観を構成する要素は、まさに多種多様であり、建築物や道路、公園、河川を初めとする施設はもとより、緑、環境、文化、市民活動等の幅広い分野にかかわっております。このような分野につきましては、既に多くの部署が施設づくりや民間への建築指導、さらには緑化、環境、都市計画等の各種の取り組みを通じて、局横断的な景観向上に鋭意努めてきたところでございます。昨年は、総合的な展開となる景観計画を策定いたしましたが、この計画を各局と共有して推進することにより、既存の組織とのネットワークを活用しながら、御指摘のような総合的なまちづくりの視点から、景観づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
31: ◯建設局長(高橋秀道)私からは、道路管理システムへの加入についてお答えをいたします。
本システムによる地下埋設物の一元管理の有効性や大規模災害時の活用効果につきましては、議員御指摘のとおりと認識しているところでございます。しかしながら、本市におきましては、各占用者が独自にデジタルマッピングによるシステムを開発し、日常的な管理を行っているほか、大規模災害の発生にも対応できるようデータのバックアップなども行っており、新たな費用負担を伴う本システムへの参加には難色を示している状況でございます。
また、加入した他都市では初期投資に十億円以上、維持更新費用に毎年一億円以上を要していると伺っております。
本システムへの加入につきましては、本市の厳しい財政状況や占用者独自のシステムの整備状況を踏まえますと難しいものと考えているところでございます。
以上でございます。
32: ◯議長(野田譲)この際、暫時休憩いたします。
午後二時四十一分休憩
────────○────────
午後三時開議
33: ◯議長(野田譲)休憩前に引き続き会議を開きます。
副議長と交代いたします。
〔議長 野田譲退席、副議長 渡辺公一議長席に着く〕
34: ◯副議長(渡辺公一)議長と交代いたします。
次に、福島かずえ君に発言を許します。
〔五十九番 福島かずえ登壇〕(拍手)
35: ◯五十九番(福島かずえ)日本共産党の福島かずえです。仙台独自の文化、芸術をはぐくむことや、仙台らしい中小企業振興基本条例を制定するなど、仙台の地域社会と地域経済を元気にする施策の充実を求めて一般質問を行います。
昨年十二月に、仙台の文化、芸術シーンを語るときに外すことができない一人の男性が、五十八歳を目前に病死されました。とても残念でなりません。その男性は、仙台で二十代から仲間とともに居酒屋七ケ宿、どんQ、どん底、ラブミー牧場などを運営し、ここ二十年間は春日町であべひげという居酒屋を営んでいました。あべひげでは、イベント、演劇、コンサート、ワークショップなどの公演のお知らせや一〇%引きのチケット販売など、仙台はもとより、東北、そして東京、全国の文化、芸術の情報が店内にあふれていました。ここでクリエーターを目指す多くの若者が好奇心を刺激され、そして励まされ、勇気と希望をもらい、たくさん巣立っていきました。私自身も、やりたいことをやれ、周りのことなんか気にするな、好きなことをやれ、そう励ましを受けた大勢の中の一人だと自負しています。
今年度、二年目になる杜の都の演劇祭は、まちにいどむ、ことばをはなつ、ひとをつなぐをテーマに、仙台文学館の開館十周年を記念して、井上ひさし初代館長がみずからよりすぐった小説、詩、童話など八演目が上演されました。晩翠草堂を初めカフェや飲食店などさまざまな空間が会場になり、とても好評で、アンコール、追加公演も行われました。私は、また仙台の新しいオリジナルな祭りが誕生したと喜んでいます。
あべひげだけでなく、このようなお店、場所が仙台にあることがとても大切です。営業の傍ら、さまざまな形で文化や芸術、そして仙台のまちを愛し、応援してくださる、こういう地元中小業者の皆さんは、元気なまち仙台をつくり出す貴重な地域のまちの資源と言えますが、いかがでしょうか、伺います。
五十弱の劇団があり、毎週のように演劇公演が行われる演劇の都である仙台は、そのこと自身がまちの魅力となっています。また、仙台市は、一〇〇%出資の財団法人仙台市市民文化事業団とともに、ドラマチックに仙台のまちを活性化させようと劇都(ドラマティック・シティ)仙台事業を行っています。初年度の十九九六年度には、プロデュース公演として、東京と仙台の演劇人による滞在型コラボレーション共同制作を全国に先駆けて実施し、以来、毎年一作品を世に送り出してきました。その新たな展開として、二〇〇一年度から、仙台劇のまち戯曲賞を新規創設し、二年ごとに全国から新作戯曲を募集しています。現在は第四回大賞受賞作品「はだか道」をプロデュース公演して、エル・パークで上演中です。卸町につくった演劇工房10―BOXでも、フランスのジャック・ルコックシステムを発展させた国際演劇学校や舞台スタッフラボなど、毎年多彩に展開されています。
この劇都(ドラマティック・シティ)仙台事業は、演劇を専門的に目指す人のためだけでなく、普通の市民生活に潤いや感動を与え、さまざまな付加価値を生み出しています。例えば舞台スタッフラボは、文化事業団がずっと取り組んできているワークショップです。演劇は、俳優だけでなく、美術、照明、音響などさまざまなスペシャリストがつくり上げる総合芸術です。今年度も、コンセントがあればどこでもブタイをテーマにして、家庭用コンセントでできるコンパクトな舞台、照明、音響の事始講座を行いました。いつものリビングや和室、市民センターや児童館、教室や集会所を小劇場に変身させるテクニックとスキルが習得できます。地域のお祭りやイベントを盛り上げ、市民の力をパワーアップするのに重要なワークショップです。
定禅寺ストリートジャズフェスティバルは、千を超えるグループが参加を希望しているそうですが、音響などのスタッフがそろわず、現状では七百余りのグループの参加で精いっぱいだそうです。イベントや祭りを支える技術スタッフを市民の中にどんどんつくっていくことは、仙台の地域力や市民力を高め、仙台の文化のすそ野を広げていく取り組みと言えます。劇都(ドラマティック・シティ)仙台事業は、仙台の文化の醸成や振興、そしてまちづくりにも大きく貢献していると言えます。いかがでしょうか、伺います。
文化、芸術と地域経済の振興は結びつきがたいものととらえられがちですが、地域おこしに、地域づくりに文化、芸術は欠かせません。仙台クラシックフェスティバル、せんくらは、四十五分間から一時間で、千円から二千円のチケット代と手軽に本格的な音楽が楽しめて、今どきの要求にぴったりです。音楽ファンのすそ野を広げることや地下鉄利用増にも貢献していることでしょう。地域の商店街とのコラボレーションにさまざまな工夫を凝らせば、もっと商店街の売上増にも結びつくと思われます。
景気が低迷しているときには、市民の文化や芸術にかける時間や費用も少なくなりがちです。市や文化事業団が、こういうときだからこそ劇都(ドラマティック・シティ)仙台事業やせんくらに限らず、仙台市の文化、芸術をすそ野から支え、培っていき、まちの魅力、まち力を高めるための工夫や予算の増額を行うべきです。いかがでしょうか、伺います。
私は、文化、芸術振興視察調査のために一月末に金沢市を訪問しました。うちの市長は子供のためのお金は惜しまないと、一昨年十一月に開館した金沢市立玉川こども図書館の館長は、本に親しむたくさんの子供たちの前で誇らしげに私に語ってくれました。金沢市民芸術村や金沢職人大学校でも、大人だけでなく子供たち対象のワークショップには特に力を入れており、盛んに行われていました。
金沢市は、金沢の文化、芸術、伝統を子供たちにしっかりと伝える、未来に責任を持つと、独自の文化、まちづくり施策を展開しています。仙台市でも、児童生徒の芸術鑑賞に要する予算を年間四千二百万円ほど計上しています。しかし、毎年減額しています。岩沼市では、総合的学習に関する予算として小中学校一校当たり五十万円、プラスアルファの予算を配当しているそうです。学校に講師を招いて、子供たちが演劇のワークショップをしたり、生のオーケストラの音楽鑑賞など、芸術、文化に触れる機会をつくったり、子供たちに合わせて学校で独自の工夫をしています。仙台市で一校当たり五十万円を全校に配当すれば約一億円です。今はその半分以下です。未来の担い手である子供に対して、仙台市はもっとお金をかけて、最善の文化、芸術に触れ、感動する機会を保障、拡大すべきです。そのことが未来に向けてすぐれた文化、芸術の担い手を生み育て、まちづくりにも大きく貢献することにつながると言えます。いかがでしょうか、伺います。
地域の産業や生活、文化や祭りを支えているのは、多国籍企業や大手金融機関ではありません。仙台市でも事業所の九九%を占めているのは、中小企業と零細な業者です。農村部ではこれに農家や林家、漁家が加わります。中小企業家や業者とそこで働く家族や従業員の皆さんは、地域社会や地域文化の担い手です。町内会や自治会、PTAや消防団、祭りや伝統芸能の支え手として活躍しています。短期的な経済的利益の拡大のみを求める経済のグローバル化と構造改革政策の結果、日本の地方都市も農村も深刻な疲弊状態に陥っています。構造改革政策は、大企業と中小企業、農家との格差、一部の富裕層の形成とワーキングプアや失業者の増大という縦の階層格差だけでなく、日本列島の地域間格差を生み出しました。大企業の本社が集中する東京都心部や大阪、名古屋の都心部とそれ以外の地方、とりわけ農山村地域との格差です。都道府県別に二〇〇〇年から二〇〇五年、六年、七年までの各指標を見ると、県内総生産と県所得の増減率や雇用者報酬、企業所得、財産所得の増減率、そして事業者数、従業員数の推移と転出、転入超過数の推計値など、いずれをとっても落ち込む他県をしり目に上昇しているのは、東京都と愛知県だけです。リーマン・ショック後の愛知県は落ち込みがひどく、結局、東京のひとり勝ちで、金も人も東京への一極集中となりました。
今、求められているのは、地域に根ざした中小企業や業者、農家を主体にした地域経済と仕事や商品の質と人間的な暮らしが大切にされる地域社会の再生です。東京に本社を持ち、利益を求めて国内外に簡単に移動する大企業ではありません。仙台市でもそういう理念を明確にして、これまで行ってきた企業の誘致、立地を中心とした経済政策はやめて大転換すべきです。
三十三億円を超える固定資産税を仙台市が免除するという破格の支援を行った東北セミコンダクタは、その恩義もさらりと忘れて二年ほど後には全面撤退し、今、働いている六百人余の人々を全員解雇しようとしています。まず手始めにこういう大企業の横暴を許さず、だめなものはだめと毅然と主張すべきです。東北セミコンダクタの親会社であるアメリカのフリースケール社に抗議し、助成金の返還を求めるべきです。地域経済と市民を守る奥山市長の姿勢が本気かどうか、この問題でも鋭く問われています。いかがでしょうか、市長に伺います。
近年、千葉県や大阪府八尾市、吹田市、北海道帯広市など中小企業振興基本条例や地域経済振興基本条例を制定し、積極的にその地域に合った経済政策を進めていこうとする自治体がふえています。二〇〇一年に条例を制定した大阪府八尾市では、目的に、市の活力ある発展に重要な役割を果たしている市域中小企業と地元中小企業の位置づけを明確にしています。また、市や中小企業の責務に加え、大企業の努力という規定があり、大企業者は、地域経済の振興に努めるものと明記しています。大手の工場閉鎖問題が起きたとき、この条例に基づき、市長が工場の操業継続と閉鎖計画の再考を要請した結果、障害のある方たちの雇用継続を実現することができたそうです。二〇〇九年に条例を制定した大阪府吹田市では、大企業や大型店に加えて、全国展開しているフランチャイズのチェーン店の本社、市内に加盟者を有する特定連鎖化事業を行うものにも努力を求めています。加盟者に対して、商店会などの経済団体へ加入するよう指導することや、市が行う産業施策及び経済団体等が行う産業の振興のための事業活動に積極的に協力することなどです。
このように、先進自治体の条例では、地域づくりや地域振興のためにその最も頼りとなる経済主体は、地元中小企業、業者であると明確に位置づけ、その支援を市の責務として打ち出しています。また、中小企業、業者の側にも、地域づくりに貢献するという社会的な責務や、それにふさわしい経営努力と創意工夫を求めています。
仙台市では、一九七〇年、昭和四十五年につくった仙台市中小企業振興条例を一九八七年、昭和六十二年三月に廃止しました。そして大企業も中小企業もごちゃまぜにして、専ら企業の立地促進を目的にした仙台市商工業振興条例を、新たに同年四月から施行しました。現在もこの条例をよりどころに市は、企業立地助成や制度融資、企業診断、経営指導などを行っています。しかし仙台の地域経済の特性やそれに対応する方向性がなく、中小企業の位置づけや独自の施策も全く書き込まれていません。単に国の中小企業政策をもとにして誘致、立地企業への助成金や制度融資などをやっていればよいという条例となっています。ほかの自治体でもそのまま使えるような条例です。こういう条例では全く不十分です。新たに仙台市でも中小企業、業者を地域経済の中心的な主体と位置づけて、それを支援する市の理念や責務を明確にした中小企業振興基本条例を制定すべきです。いかがでしょうか、伺います。
中小企業振興基本条例の先駆けとなっているのが東京都墨田区の条例です。早くも一九七九年に制定されています。地域の産業の実態調査のために、係長級以上の全職員が、地域の商工業、事業所をことごとく皆調査し、台帳をつくり、商工業振興政策のニーズを把握しました。これによって拠点整備や異業種交流、ファッション産業への支援、商店街振興とまちづくり支援などの事業を実施し、その中心的な組織として中小企業センターを設置し、機能を充実させてきました。この三十年間、台帳は毎年更新され、行革の嵐の中でもこのセンターは直営を堅持し、職員数や予算も重点的に配分されてきています。
一九九九年には、中小企業基本法が改正されました。新自由主義的な構造改革路線に沿ったものであり、全面的に評価できるものではありません。しかし第六条の地方公共団体の責務では、その公共団体の区域の自然的、経済的、社会的諸条件に応じた施策を策定し及び実施する責務を有すると明記されています。すべての地方自治体がみずからの地域の個性に合った条例を制定することが、今では中小企業基本法でも求められています。仙台市でもまず、地域経済の特徴、個性は何か、どの分野、どの産業をどのように支援していくことが求められているのか、徹底した調査、分析を市みずからが行ってつかむことが大切です。いかがでしょうか、お伺いします。
そして、それを土台にして、仙台市の地域経済や産業、暮らしを具体的にどのように振興するのかという戦略的な視点や理念が必要です。そうした市独自の理念を入れた条例にすべきです。いかがでしょうか、市長にお尋ねします。
また、そういう条例ができれば、それで経済振興が図れるかといえば、そう単純ではありません。条例をもとにした具体的なビジョンや施策が必要です。さらに、つくったそのビジョンや施策をチェックしながら実施させていく中小企業、業者を中心とした常設組織を設置することが必要です。
二〇〇七年に条例をつくった北海道帯広市では、二〇〇九年二月にすぐれた産業振興ビジョンを策定しました。コンサル会社に委託してつくった計画案を三、四回の検討委員会で追認するというようなつくり方ではありません。中小企業、業者約五十五人が十三カ月間、行政と真剣に対等、平等の立場で延べ七十一回もの研究会や会議、部会を重ねて、本当に役に立つ自分たちの自前のビジョンをつくりました。現在の経済危機に対応して、帯広市では制度融資の保証料を全額市が補助しています。つくった条例やビジョンの効果と言えます。
仙台市でも、遅まきながら経済懇話会をつくり、市内の事業主の方々の意見に耳を傾けているようです。それを一過性のものにせず、(仮称)経済振興会議などの名称で常設の機関として設置すべきです。そしてそこで自前の条例やビジョンをつくり、経済振興施策の進行管理も行っていくべきです。いかがでしょうか、最後に伺って私の第一問といたします。
御清聴、大変ありがとうございました。(拍手)
36: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの福島かずえ議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、文化、芸術によるまちづくりについてでございます。
御案内のとおり、昨今の社会、経済情勢は大変に厳しく、先行きが不透明な時代となっております。このような状況の中にあって、定禅寺ストリートジャズフェスティバルや仙台クラシックフェスティバルは、本市を代表するイベントに成長し、プロスポーツの活躍と相まって市民の皆様に活力を与えるとともに、地域や商店街のにぎわいの創出に大きく寄与をしております。
また、文化、芸術は、年代や国籍などを超えて、さまざまな人々が表現し、楽しむことができるものでありまして、これを通じて多くのコミュニケーションを生む可能性を有するものと考えております。昨今のような厳しい時代でございますからこそ、このような文化、芸術の持つ多様な可能性を活用し、市民の皆様とともに本市の個性、魅力づくりに資するよう、効果的な施策を展開してまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、経済懇話会に関する御質問にお答えをいたします。
仙台市経済懇話会は、有識者の方や若手の経済人の方など、第一線の現場で活躍しておられます十六名の方々の生のお声を伺いながら、地域経済の状況などについて意見の交換を行うため、昨年十一月に設置いたしたものでございます。
懇話会では、委員の方々が実際に携わっておられる事業などの現状や課題の認識、今後の目指す方向性などについて御報告をお願いし、いただいた御報告に対して意見や情報を委員の皆さん相互が交換する形でお話を進めているものでございます。
こうした中で、地域経済の現実がどのように動いているのか、具体に私も把握をさせていただいているところでございます。
今後、いただいた御意見も参考にしながら、経済活性化を図る、もろもろの施策の推進に向け、取り組んでまいる所存でございます。
また、懇話会は、各委員からの御報告が一巡します今年の六月ごろを目途に一たん終了する予定でございますが、その後も機会を見まして、地元経済の生の情報をタイムリーに把握してまいるよう努めてまいる所存でございます。
このほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
37: ◯企画市民局長(瀬戸和良)文化、芸術振興に関する御質問にお答え申し上げます。
まず、文化や芸術を応援する事業者に関するお尋ねでございます。
作品やイベントの創造にとって、アーチストや文化、芸術の愛好者が気軽に集まって意見を交換し、刺激し合うことのできる場は大切なものと認識いたしております。また、御指摘の杜の都の演劇祭は、カフェや居酒屋を会場として、お店の食事などを楽しみながら気軽に演劇を楽しめるイベントとして御好評をいただいております。
このように、さまざまな形で文化、芸術を応援してくださる事業者の存在は、本市の文化振興や魅力あるまちづくりにとりまして非常に重要な役割を担っていただいているものと認識いたしております。
次に、劇都仙台に関するお尋ねでございます。
これまで、演劇工房10―BOXを拠点として、各種の演劇公演のほか、地元演劇人や技術、照明などのスタッフの育成にも力を注いでまいりました。ここで培われたマンパワーは、他のイベントを支えるなど本市のまちづくりを進める上で重要な役割を果たしているものと認識いたしております。このような意味におきまして、本事業は、文化、芸術の振興のみならず、本市の都市個性、魅力づくりに貢献しているものと考えております。
次に、子供たちがすぐれた文化、芸術に触れる機会の創出に関するお尋ねでございます。
御指摘のような観点から、本市では市内の小中学生が仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏を鑑賞する青少年のためのオーケストラ音楽鑑賞会のほか、子供たちがプロのオーケストラから指導を受けることができる仙台ジュニアオーケストラ、それから学校にアーチストを派遣し、音楽や演劇などのワークショップを行う学校アウトリーチ事業などの事業を実施しているところでございます。
今後とも、子供たちがすぐれた文化、芸術に触れることができるよう、さらに努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
38: ◯経済局長(渡邊晃)フリースケール社への助成金の返還について及び中小企業振興基本条例に関する二点の御質問についてお答え申し上げます。
まず、東北セミコンダクタ社に対する助成金の返還についてでございます。
本市の経済が活性化し、持続的に成長していくためには、地域中小企業の振興を図るとともに、域外からの投資を促進することが必要であると考えております。
同社の撤退につきましては大変残念なことではありますが、その要因として大きなものは、一昨年秋からの世界的な経済不況にあるものと考えております。こうしたやむを得ない状況や半導体業界の技術革新、これまで同社が二十年余りにわたり地域に貢献したことを踏まえますとともに、今後の企業誘致活動への影響などを総合的に勘案いたしまして、助成金の返還を求めないことといたしております。
次に、中小企業振興基本条例の制定に関する御質問にお答えいたします。
本市といたしましては、地域経済の基盤である中小企業の振興は、本市経済はもとより、市民生活全体にかかわる重要課題と認識いたしておりまして、中小の商工業者の支援、育成を図るなど、中小企業の活性化を重点目標の一つに掲げ、取り組んでいるところでございます。
中小企業振興基本条例につきましては、行政のみならず企業、市民が一体となって取り組むことでより大きな効果を発揮するものと考えており、制定に向けましては、地元中小企業の皆様の機運の高まりや実際のかかわり方が重要になると考えますことから、現時点におきましては条例制定に向けての動きまでには至っていないものと認識をいたしております。
最後に、地域経済の特徴に関する調査、分析と産業振興の視点や理念に関する御質問にお答え申し上げます。
本市は、市内事業所の大多数を占める中小企業、サービス業や卸売業など第三次産業中心の産業構成や外部依存型の支店経済構造など、経済面での特徴を有していると認識いたしております。このような特徴を踏まえ、本市の経済政策におきましては、中小企業や商店街の活性化に重きを置いた取り組みを進めてまいったところでございます。一方で、目まぐるしく変化する経済の状況を機動的に把握し、分析することも効果的な施策の推進には重要でございますことから、事業者や各種団体の方々のお声を直接お伺いし、施策に反映する取り組みを進めてまいったところでございます。
今後もこうした考え方に基づき、地域経済の活性化に向けまして、戦略的な産業施策の推進に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
39: ◯五十九番(福島かずえ)市長に、二点とも再質問したいと思います。
まず、東北セミコンダクタの問題について伺います。
六百人余りの人たち、家族の方も入れれば二千人もの人たち、市民が、将来の生活がどうなるのか不安な状況のまま働かされている、暮らしている状況です。
人は、困難に陥ったとき、人からの励ましによって慰められ、勇気づけられ、また立ち上がることができます。
仙台市は、一方の東北セミコンダクタには二十年間にわたって三十三億円ものお金を助成する一方で、片や一方でこのような方々、解雇されようとしている人たち、市民の人たち、家族の人たちに対して市長自身が何もしないでは済まされないと考えます。市長がどういう行動をとってこの困難な状況の中にいる市民を励ましていくのか、そこのところが問われているのです。市長に伺いたいと思います。
同様に、本当に厳しい経済情勢の中で、このまち仙台を支えている地元中小企業、零細業者の皆さんのために何が今、仙台にできるのか、どういう支援をしていけばいいのか真剣に考え、手を打つべきときが今です。それが中小企業振興基本条例づくりかと考えます。事業者の皆さんの自主的な努力がもちろん必要ではありますが、グローバル経済の勝手気ままな競争にゆだねるままであれば、仙台のまちのにぎわいも、独自の文化、慣習、祭りもできなくなっていく、そうした状況が今、目前に迫っている、そうした危機感を持って、仙台らしい経済振興政策の理念や支援策を今こそ事業者の皆さん、そして市民の皆さんと一緒につくり上げるべきときではないでしょうか。いかがでしょうか、伺います。
40: ◯市長(奥山恵美子)福島議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、東北セミコンダクタの企業の工場の廃止ということでございますけれども、この案件につきましては、私といたしましても大変残念なことであり、多くの雇用が失われるということにつきましては、大変世界のこうした経済状況の中、ある意味では半導体事業の海外での生産拠点の移転ということでやむを得ない側面もあるというふうに思いつつ、大変市民の方々にとっての雇用の場を失うということでございますので、残念なことだという気持ちを持っておるものでございます。
市民の皆様がこうしてこの雇用の場から離れざるを得ない方々がいらっしゃるということにつきましては、私ども経済局を中心に、今後の御支援について、さまざまに仙台市が持っております諸般の機能を動員してこれを御支援申し上げたいと考えている次第でございます。
また、中小企業、零細事業者の皆様の振興ということでございますが、仙台市は中小企業、また、多くのサービス業を中心とした事業者の方々によって産業の中心を担っていただいているということは御指摘のとおりでございまして、この振興につきましては、私どもも、さまざまな公共事業の発注のあり方、また、商店街へのさまざまな助成の制度、また、いろいろな仙台市におきます購買の努力、また、町中の環境の整備等につきまして、こうした皆様の事業が振興されるように努めてまいったものでございまして、今後ともその方向での努力をさらに続けたいと考えているものでございます。
条例の制定につきましては、そういった意味での広くまちの方々の意識の高揚、また、それに向けた機運の醸成ということが肝要であろうと考えているものでございまして、なお、そうした市民、中小企業の皆様一体となっての情勢につきましては、関係団体ともお話し合いを深めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
41: ◯五十九番(福島かずえ)特にセミコンダクタに対して再質問させていただきます。
市長は、百三万市民の代表です。一人一人の市民が平和に健康に文化的に暮らしていく保障をつくっていく、そういう責任があります。百三万市民が希望を持っていけるように励まし、暮らしを支える本当に大変な仕事です。しかし、その仕事をみずから選び、また、市民から選ばれた以上、誠実にその仕事を遂行すべきです。だれかに、どこかに責任転嫁できるものではありません。残念な気持ちを持っているのであるならば、思っているだけではなくて行動すべきです。腹を据えて、だれに遠慮することもなく、自分の責任で自分の全人生をかけて、やじなどに惑わされないで手を打つべきです。それが行政マンと選挙で選ばれた政治家としての首長の大きな違いです。そのことを深く自覚して、セミコンダクタ問題にも、相手がアメリカのグローバル企業だからといって臆することなく、積極的に対応する市長の行動を再度求めますが、いかがでしょうか。
42: ◯市長(奥山恵美子)東北セミコンダクタの問題に関しましては、さまざまな課題を抱えられます従業員の皆様に対しては、私ども持ちますいろいろな仙台市の施策、そしてまた仙台市の持ちます機能を発揮しながら十分な御支援をしてまいりたいと考えるものでございます。
私のいろいろなこの間のセミコンダクタに対しますきょう御答弁申し上げましたような判断につきましては、相手方がアメリカの大きな資本であるというようなことに影響されたことではございませんので、私としては経済状況等を総合的に勘案した上での判断であると御理解をいただければと存じます。
以上でございます。
43: ◯副議長(渡辺公一)次に、辻隆一君に発言を許します。
〔三十五番 辻隆一登壇〕(拍手)
44: ◯三十五番(辻隆一)一般質問を行わさせていただきます。
初めに、奥山市政が掲げる市民協働の市政運営についてお伺いをいたします。
市長が、本定例会冒頭に行われた施政方針は、私が知る限りにおける歴代市長の新年度所信表明では、最も多くの分量で市民協働の視点を諸施策の中に縦横に織り込んだものではなかったかと評価をしながら聞かせていただきました。その上で二点ほど質問させていただきます。
第一点は、人と人との結び合いによって支えられる地域づくりの推進において、住民と行政とをつなぎ、ともに地域づくりを進めていく新たな体制を整えてまいりますと述べられました。行政と市民をつなぐ組織としては、かつての島野市政においては健康都市推進協議会、藤井市政においては杜の都推進協議会がありました。奥山市長がイメージし、取り組まれようとする新たな体制とは一体どういうものなのかお示しいただきたいと存じます。
第二点目は、本市を人材都市と位置づけ、行動する市民力発動の元年にしたいと表明されました。また、その市民力の中心にNPOや市民公益活動などを掲げられました。
今、新しい政権のもとで新しい公共という概念が動き出しています。それは、これまでの概念として行政が担う官の部分と民間団体や事業者が担ういわゆる民の部分との重ね合わさった部分のようなイメージであります。それがまさに市民公益活動であり、その担い手がNPOであったりワーカーズコープのような協同労働であったり、さまざまな想定がされているところです。しかし、それは官から民へという安上がり行政の手法とは全く区別されなければなりません。ややもすると、これまでのようにこれらの団体が行政サービスの下請機関のような位置づけだけでは問題であり、官が果たすべき役割、民間団体が担う役割を明確にしながら取り組んでいくべきと考えます。この視点についての市長の御所見をお聞かせください。
次に、市民の暮らしの再編、支援の問題についてお伺いいたします。
この間の日本経済を取り巻く状況は、政府も穏やかなデフレ状況と言っているように、明確な物価下落傾向に加え、雇用の劣化など深刻な事態に陥っています。働く環境の悪化、前政権下で年金や医療などをずたずたに切り捨てられた社会保障制度などによって国民の将来不安は拡大し、また、貧困の問題は社会的に深刻な課題となってきています。
それらの政治的、社会的な典型的な現象としてあらわれてきている一つが、生活保護世帯の急増の問題であります。本市におけるデータでも、平成十六年の被保護世帯六千七百八世帯、人員で九千九百四十四人、保護率九・七〇パーミルが、二十一年十二月には九千八百九十三世帯、一万四千三百三人、保護率一三・八二パーミルと、世帯数では一・四七倍の伸びを示しています。全国的に見ても、九五年の九十万人から、今は百六十万超という実態であります。
そこでお伺いする第一点は、生活保護事業の改善についてであります。
一九五〇年に制定された生活保護制度は、窓口申請主義、民法上の扶養義務優先主義、そして貯金や家財などの所有やほかの支援制度などとの他の法律優先主義を三原則としてきており、それが水際作戦とまで言われた保護申請を窓口で厳しくはね、屈辱の福祉ともやゆされてきたゆえんだったのではないでしょうか。国の法定事務とはいえ、窓口での優しい対応こそが問われているときであり、自治体の裁量の範囲で改善されるものもあろうかと思いますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
二点目は、これらの事業を担うケースワーカーの人的体制の問題であります。
国のケースワーカーの配置基準は、八十世帯に一人となっています。しかし本市の場合、平成二十一年三月現在では八千八百六十世帯を八十七人のケースワーカーが担当しており、一人が百二世帯を受け持っていることになります。二十一年十二月現在では、九千八百九十三世帯で八十九人ですから、約百十一世帯の計算となります。九千八百九十三世帯を基準に引き直すと百二十四人となるわけですから、三十五名の増員が必要という計算になります。来年度の定数ではわずか七人増員ということでありますが、オーバーワークも問題でありますし、何よりも申請者や受給者に親密な対応がなされているのかが問われており、したがって大幅な増員を早急に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
この体制強化によって、受給者の生活を丁寧に見守ったり、受給者から保護費をピンはねするいわゆる貧困ビジネスの実態の調査や対応なども含めさまざまな角度からの貧困政策の拡充を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
生活保護は、よく最後のセーフティーネットと言われますが、私は、必ずしもそれが正しい表現かどうか疑問に持つ者です。確かに高齢者や障害をお持ちの方、無年金の方々にとってはそう言えるかもしれません。仮に受給者や対象者になっても、仕事や子育て、生活の再建を願う方もたくさんおられると思います。そういう方の自立支援の体制整備、安い公的住宅や施設の拡充などもまた問われている課題ではないでしょうか。昨年末に国や県、そして本市も一緒になって取り組んだワンストップ窓口の開設はその一環であり、評価をするものですが、それらが恒常的体制となることを願うものであります。このことを担うことが、自治体の役割なのではないでしょうか。その意味でも、職員体制の強化を含め政策拡充を求めるものでありますが、三点目として御所見をお伺いいたします。
次に、雇用対策の促進についてお伺いいたします。
雇用の不安定化と所得の減少の傾向は、内需を一層冷え込ませ、デフレスパイラルから抜け出られない新型デフレとも呼ばれる病に冒されていると言っても過言ではありません。
私はまず、働く環境の改善、とりわけ可処分所得の向上と雇用の拡大こそが経済立て直しの第一歩だと思います。そういう点で、本市でも来年度予算において中小企業支援策や緊急雇用対策事業に重点化して取り組もうとしていることは評価するものです。その点についてはしっかり取り組んでいただきたいと思うと同時に、これまでの緊急雇用対策と同様に短期的かつ不安定的雇用ではなく、戦略的に、かつ、継続的事業として定着できるように積極的な対策を講じるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
ところで、新政権が年末に発表した新成長戦略基本方針は、需要からの成長戦略を掲げ、雇用創出については環境、エネルギー分野で百四十万人、医療、介護など健康分野で約四十五万人の新規雇用を目指すとされています。本市の今回の雇用促進プランにおいては、国のこのような考えとどう連動していくとお考えでしょうか。確かに国においても具体性が見えていないし、本市においても緊急的と位置づけられていることから、おのずと限界があることもわかります。プランでは、子育て支援部分での位置づけはありますが、環境、エネルギー分野や医療、介護面での雇用創出が見えてこないという感が否めません。これらについての今後の対応も含めた御所見を伺っておきます。
関連して、本市の施策として職員体制のあり方についてお伺いいたします。
特に新規学卒者の就職は極めて厳しい状況の中で、私は、市みずからが率先して雇用促進を図るべきと考えます。確かに行財政改革の大義名分があり、職員定数を削減することは奥山市長の公約でもあります。しかし団塊世代の大量退職は、次世代の市役所の担い手育成、あるいは技術の継承という点で大きな課題を突きつけているのではないでしょうか。そういう視点からも求められている課題と考えますが、いかがでしょうか。
さらに、この点に関連して挙げさせていただきますが、例えば下水道事業においてはパテントや実用考案など、すぐれた技術を生み出すなど評価されてきたところであり、行革の名のもとの民間への技術移譲も含めて職員のモチベーションの点からも問題があると考えます。
また、交通局職員の平均年齢は五十歳代ということであり、出張所等の民間委託は進められているものの、公共交通機関として次世代を担っていくためには、この数年間なかった職員の採用を図るべきと考えます。これらの視点に立った市職員体制のあり方を含めた考え方をお伺いいたします。
次に、指定管理者制度に関連して、幾つかの点でお伺いいたします。
さきの第四回定例会においては、指定管理者制度をめぐる幾つかの矛盾点が浮き彫りになりました。既に指定を受けている事業者による事業実績の正当な評価、選定過程が不透明と指摘されたケース、地元事業者の育成という観点からも矛盾している全国展開のために食指する中央の事業者が選定されたケース、そして何よりも重要視しなければならない、指定管理者の変更によって働いていた方々が職を失うというケースなど、多くの課題が指摘されたと思います。
平成十六年より導入されたこの指定管理者制度でありますが、二十一年四月では三百二十二施設が指定されています。我が会派は、これまで幾度となくこの指定管理者制度について、働く環境の劣悪化やサービス水準の低下などのコスト縮減に伴うその影響など、問題点を指摘してまいりました。今ここに及んで、制度そのものへの慢性化した当局の対応、モニタリングを含む評価システムやチェック機能の欠如などがさきに指摘した事態を招いているのではないかと考えます。今こそ制度の抜本的見直しが求められていると思いますが、御所見をお聞かせください。
私は、官製ワーキングプアの温床の一つになっているのがこの指定管理者制度だと思っています。今定例会の議案とも関連しますが、具体的な事例を挙げて指摘しておきたいと考えます。
それは仙台市体育館、青葉区体育館も同様ですが、新田東総合運動場のプールの管理運営に関してであります。ここはスポーツ振興事業団が指定管理者として指定されていますが、問題は、プールの管理運営だけがさらに別事業者に委託されていることです。私は、これ自体が指定管理者制度における再委託の禁止事項に抵触するのではないかと思いますが、実態は、そこで働く方々はさらに別の派遣会社から派遣された方々であったということであり、これは再々委託ではないかと指摘することができ、許される事態ではないと考えます。しかも委託は一年契約であり、公募でもあり、資格要件を満たした方であっても不安を抱えての仕事であります。加えて、新田東のプールの場合は何と時給六百六十二円、これは宮城県の地域最低賃金そのものです。委託費と働く方々に支払われる賃金にも大きな乖離もあります。この実態こそが官製ワーキングプアを生み出している証拠ではないでしょうか。また富士見市のようなプール事故があってはなりませんし、安全管理もまた、対策を図らなければなりません。当局はまずこの実態についてどのように把握し、どのように考えておられるのかお答えください。
私は、このような事態を生み出している再委託のあり方や、委託先の就業規則もないような、労働環境にも責任を持てないような指定管理者制度のあり方を見直すべきであり、指定管理者への厳しい指導を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
新田東総合運動場の管理運営についてもう一点伺います。それは駐車場管理の問題です。
多くの利用者から、駐車スペースが少ない、そして駐車料金が高過ぎるという声が寄せられています。長時間利用する指導者の方々から改善を望む声も上がっています。指定管理者に言っても、現在の指定管理料ではどうにもならない、市に伝えてとか冷たい返事ばかりとのことです。利用する市民の意見をちゃんと反映できるシステムの確立もまた必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
私は、先ほど来、雇用の問題、働く環境の悪化の問題、そして指定管理者制度が官製ワーキングプアの要因にならないよう求めてまいりました。私は、これらの対策の一環として、今こそ公契約条例の制定を早急に行うべきであると提言するものです。
昨年九月に全国で初めて制定した千葉県野田市の根本崇市長の話を聞く機会を得ました。非正規雇用が急増する中、労働関連のセーフティーネットとして、社会保険への加入拡大や失業保険の給付の抜本的な見直しとともに、正規職員と非正規職員間の格差の是正は大きな課題であります。EUでは既に派遣者と常勤者の均等待遇が法制化されていますが、企業内最低賃金制度の考えは有効な方策と考えています。国でも、公契約法の制定へ動き出していると伺っていますが、公契約条例はまさにこれらの課題を制度として自治体が率先して取り組むものであります。そして指定管理者制度やさまざまな委託事業、福祉や介護施設等にも適用すべきと考えます。このことに対する市長の御所見を伺うものであります。
最後に、国際交流の推進に関連して、日中友好の促進の課題について伺います。
本年は、中国長春市との友好都市締結三十周年の節目の年であります。十年前の二〇〇〇年に二十周年を迎えたとき、藤井市長を初め訪中団を組織して記念レセプションが挙行されました。私も、市議会の日中友好促進議員連盟の一員として参加させていただきました。長春市の開発区に整備された道路は仙台大街と名づけられ、その後、近くの金生小学校は仙台小学校と校名が変更されるなど、長春市の仙台市に対する思いは極めて深いものがあると感じています。
そこで、市当局として、この三十周年記念事業をどのような形で行おうとしているのか、現段階での計画があればお示しいただきたいと思います。
私は、国際交流、特に都市間交流においては、人的、学術、文化的、そして経済的に交流が複層的に織り込まれて取り組むべきと考えています。そういう点で、長春市との関係で言えば、学術交流は東北大学と吉林大学との交流がありますが、文化的な、そして経済的な交流は薄いのではないでしょうか。物産交流を含めてもっと積極的に交流を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
日中交流については、前市長の台湾重視を含めて、偏見的視点によってねじ曲げられ、後退したように思います。その中で、一時は積極的に取り組もうとしていた魯迅をめぐる日中交流のあり方について伺うものであります。
北京、上海、そして紹興市を含めた魯迅記念館のネットワークも立ち消えになった感がいたします。今月二十四日には、東北大関係者や市民有志の集いも開催されたようでありますが、東北大学片平キャンパス内への魯迅記念館の早期整備が大いに期待されているところだと思います。この整備を単に東北大学だけの問題とするのではなしに、るーぷる仙台の通過点でもあり、本市にとっても必ず観光名所の一つになり得ると確信をするものです。ぜひ奥山市長が掲げるミュージアム都市構想の一環として積極的な取り組みを求めるものでありますが、御所見をお伺いいたします。
以上で私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
45: ◯市長(奥山恵美子)ただいまの辻隆一議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、行政と住民の皆様をつなぐ地域づくりを進めていく上での新しい体制についてのお尋ねでございます。
過去の市政の例を引かれまして、さまざまな協議会制度というものについて御指摘をいただいたところでございますが、私が考えております今後の新たな関係の構築と申しますのは、例えば協議会に代表されるような形が、ある大型のバスに関係の皆様が全員で乗って比較的大きな道を問題に向けて真っすぐ解決に走り出そうというようなイメージであるとすれば、より小さな、いわばミニカーのようなものに関係者が三人でも四人でも乗って迅速に地域に飛び出していき、隅々までその課題について御一緒に取り組んでまいろうと、そのようなイメージの違いがあろうかと思うものでございます。
しかしながら、大きなバスと小さなミニカーにはそれぞれの利点と短所、長所があろうかと思ってございまして、大きなバスの中では情報を共有することが比較的容易でございましょうけれども、それぞれのミニカー同士の中での情報というのは途切れがちでございますので、そうした情報の共有をどうやって図っていくか、また、そうしたミニカーに乗って地域に赴く者が、行政の職員であるばかりでなく、民間からの市民の方のお力も必要でございますので、そうした人材をどのように地域から育っていただくか、また、行政の職員も腰軽く外に出るというような考えをどのようにさらに醸成していくか、そういった幾つかの課題を踏まえながら、私としては、気軽に地域に足を運ぶ、課題と端的に見合っていくような機動性のある体制というものを構築してまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、民と官の果たす役割についてのお尋ねでございますが、近年、市民の方やNPO、企業などがそれぞれの分野におきまして公益的な活動を活発に展開していただいており、新しい公共の担い手として期待が高まっていると思うところでございます。
本市におきましても、市民生活の豊かさや暮らしの安全を実現してまいります上でさまざまな分野で市民の方々の主体的な参画をいただき、課題の解決を図っていくことが不可欠と考えてございます。市民と行政がお互いの立場や活動を尊重しながら、その信頼のもとで民と官のあるべきつながりを確認しながら豊かな協働の実現を目指してまいりたいと考えているものでございます。
続きまして、長春市との友好都市提携三十周年記念事業及び文化的、経済的交流の推進についてお答えを申し上げます。
長春市とは、昭和五十五年の友好都市の提携以来、多くの皆様のお支えによりながら、相互の市民の訪問による交流や仙台国際ハーフマラソン大会への参加などの交流を行ってまいりました。こうした交流の蓄積は、中国の他の地域との交流にも生かされており、また、中国北東部との民間ベースでの交流や経済活動に従事される方々にとっても心のよりどころの一つともなっているものと感じているところでございます。
御指摘のとおり、本年、提携三十周年を迎えますことから、新年度におきまして関連の記念事業を企画しているところでございます。
まず、本市におきまして、中国伝統の楽器の演奏会や長春写真展を開催する予定でございます。また、市民団体の皆様とともに本市から公式訪問団を派遣し、市民レベルでの交流をさらに深めてまいりたいと考えております。これらの記念行事の実施に当たりましては、長春市や関係団体とも協力をいたしながら、三十周年の節目を両市民ともにこぞってお祝いをしてまいりたいと思うところでございます。
国際姉妹友好都市との交流は、市民の皆様の交流を主体としながら、特定の分野に限定されることなく幅広い交流を行えるところが特徴であろうかと認識をしてございます。これまで三十年にわたって培ってまいりました長春市の方々との信頼関係を基盤として、今後はさらに文化や経済などさまざまな分野での交流拡大に向けて長春市とも協議をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
46: ◯副市長(笠原周二)私からは、公契約条例の制定についてお答えを申し上げます。
公契約条例の趣旨については理解をするところでございます。
労働者の労働条件の確保につきましては、本来、労働政策あるいは賃金政策にかかわる全国的な法制の問題であると考えているところでございます。
また、一つの自治体の条例をもちまして、本市だけが発注した工事や業務に従事する一部の労働者だけを対象とする制度を設けることの是非につきましては、さまざまな意見もございます。公共工事の労働条件の改善は必要でありますが、現在、本市で行っております低入札時の労働環境法令の遵守状況の確保など、適切な運用を心がけつつ、当面は法律の制定を含めた国の対応を注意深く見守ってまいりたいと、そのように考えているところでございます。
以上でございます。
47: ◯総務局長(藤本章)職員体制及び指定管理者制度の二点についての御質問にお答えいたします。
まず、大量退職を踏まえた職員体制についてでございます。
今日の多様化する市民ニーズに対応し、本市が担うべき行政サービスを確実に提供していくためには、行財政改革などによる運営の効率化をさらに進めながら、必要な部門へ適切な人員配置を行うことが重要と考えております。
職員の採用につきましては、将来的な行政需要の見通しや中長期的な職員構成にも十分留意しながら行う必要がございます。市長部局等におきましては、団塊世代の退職もあり、一定規模の新規採用を継続的に行いますとともに、社会人経験者の採用も引き続き実施することといたしております。
また、各企業におきましても、今後の経営計画を踏まえて採用の有無を決定しているところでございます。
限られた職員数の中で質の高い業務を継続的に執行していくためには、専門的な知識、技術の継承、蓄積や職員の意欲、能力の向上も不可欠でありますことから、人材育成や組織の活性化に積極的に取り組み、今後の市政運営を支える職員体制を築いてまいりたいと存じます。
次に、指定管理者制度についてでございます。
まず、制度の運用の抜本的見直しについてでございます。
制度導入から五年が経過いたしましたが、民間のノウハウの活用による市民サービスの向上という制度導入のねらいに照らし、おおむね順調に管理運営が行われてきたものと認識いたしております。
また、施設の管理運営状況につきましては、本年度からモニタリング評価を本格的に実施したところであり、指定管理者への指導に活用することといたしております。
しかしながら、事業者選定における選定委員会の運営や実績の評価、地元事業者の育成など、制度の運用に係る課題も明らかになってまいりましたことから、現在、関係局とも協議を行っているところでございますが、これまでの議会における議論も十分踏まえながら、運用に遺漏がないよう具体の見直しを進めてまいりたいと存じます。
次に、再委託についてでございます。
再委託のうち、指定管理業務を一括して第三者に委託することについては禁止いたしておりますが、主要な業務以外につきましては、本市の承認の手続を経た上で採択することも認めてはおります。
労働環境につきましては、もとより指定管理者において関係法令に基づき適切に対応すべきものと考えておりますが、今後とも所管局においてモニタリングや実地調査などを通じ、指定管理者に対して必要な指導を行いますとともに、本市としましても、御質問にありました再委託のあり方も含め、制度の適正な運用に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
48: ◯企画市民局長(瀬戸和良)二点の御質問にお答え申し上げます。
まず、新田東総合運動場の管理運営に関する御質問のうち、プールの管理運営についてでございますが、当施設の業務のうちプールの監視及び受け付け業務等につきましては、指定管理者である財団法人仙台市スポーツ振興事業団が民間事業者に委託し、実施しているところでございます。これは、プール利用者の安全性が確保され、友好な施設運営が図られることを前提に、施設管理に関する協定に基づき認めているものでございます。
また、指定管理者に対しましては、指定管理評価制度に基づくモニタリングなどを行っているところでございますが、御指摘の点も踏まえまして、適正な管理運営がなされるよう、なお一層指導に努めてまいりたいと考えております。
次に、駐車場についてでございますが、同運動場はJR小鶴新田駅に近接し、利便性も高いことから、適正な料金設定による有料駐車場として、可能な限り駐車台数を整備したところでございます。
しかしながら、各種競技大会の開催時において長時間利用となる大会の役員や審判員の方などの皆様からは駐車場に関する要望をいただいておりますことから、現在、その対応策について検討しているところでございます。
また、利用者の皆様から寄せられますさまざまな御要望等への対応につきましては、確実に本市に報告をいただき、必要に応じ適切に対処できるよう指定管理者とも協議しながら工夫してまいりたいと考えております。
最後に、魯迅記念館に関するお尋ねでございます。
魯迅が学んだ東北大学片平キャンパスの階段教室や博物館に隣接する魯迅の碑を訪れる中国からの観光客は多く、魯迅との縁は、日中両国にとって、とりわけ私ども仙台市民にとりましてかけがえのない財産でございます。
本市は、魯迅ゆかりを生かしまして、北京、上海、紹興の魯迅博物館、記念館と相互協力協定を結んでおりまして、現在もホームページにおけるリンクや施設内における仙台紹介パンフレットの配布などに御協力をいただいております。
また、魯迅記念館が新たに整備された場合、さらなる魯迅顕彰につながるとともに、本市の新たな観光拠点として大変意義深いものと考えております。東北大学などの御意見も伺いながら、本市としての支援のあり方について検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。
49: ◯健康福祉局長(上田昌孝)私からは、生活保護に関する三点の御質問にお答えいたします。
まず、窓口待遇についてでございますが、一昨年秋以降の経済不況により大規模な雇用の喪失が発生し、生活困窮に陥った方が生活保護の相談に訪れております。
相談への対応につきましては、相談者の状況を把握し、生活保護制度の仕組みに十分な説明を行い、保護申請の意思が確認された方に対しては、速やかに申請書を交付することとしているところでございます。
今後ともこの基本方針に基づき、相談者の立場に立った親切な対応に努めてまいりたいと考えております。
次に、ケースワーカーの増員についてでございますが、これまでも就労支援相談員や医療扶助事務補助職員等の配置を行うほか、昨年十月にはケースワーカー二名の増員を行うなど、さまざまな改善の手だてを講じてきております。
次に、新たな行財政改革計画における外郭団体の統廃合の取り組み方針についてでございます。
外郭団体につきましては、これまで公の施設の管理や公益的な事業の実施など、市民サービスにつきまして市の行政を補完あるいは代替する役割を果たしてまいりました。
しかしながら、指定管理者制度の導入や公益法人制度改革の実施など、外郭団体を取り巻く環境が大きく変化をいたしております。このような状況を踏まえ、外郭団体が時代の変化に対応し、その力を発揮していくため、団体の設立目的、経営状況、規模、類似事業の有無等の観点から人的関与や財政的関与の見直し、統廃合などに取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
57: ◯財政局長(高橋亨)税、国庫補助にかかわる御質問にお答え申し上げます。
まず、税務事務の集約化についてでございます。
今日の歳入環境のもとでは、市税収入の確保は、その重要性を増しております。これまでも滞納整理事務を本庁に集約化するなど、執行体制の見直しを図ってまいりましたが、一連の税制改正などがございまして、制度が複雑化してきております。一層、公正、的確に税務事務を執行していく必要がございます。
税務事務を集約化、効率化し、また、税に精通した人材を育成し、課税、徴収体制の一層の強化を図りたいと考え、検討を進めているものでございます。
また、税務事務は、全市統一的に執行すべき性格の事務でございますので、市民の皆様の利便性の確保という点には十分配慮いたしまして、区役所の機能強化という課題、命題と両立できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、社会資本整備総合交付金についてでございます。
国土交通省が所管する社会資本関連の国庫補助金の大部分を統合し、新たに創設される社会資本整備総合交付金でございますが、これまで道路、公園、市街地整備、下水道など、分野、事業ごとの交付であったものが統合され、各自治体がその使い道を一定程度調整することが認められることになるものでございまして、これまでよりも地域の実情に応じた国費の配分が可能となるものでございます。
一方、国の新年度予算では、各分野の国庫補助予算が一定割合減額になっておりますので、新たな交付金につきましてもその総額は減少するものと考えております。本市に対する交付額が示されますのは、従来の補助金同様、新年度に入ってからとなる見込みでございますので、現時点でその影響を確認することはできませんが、まずは各種の事業を着実に進められるよう、交付金の確保に努めることが必要と考えております。
なお、交付金、補助金の配分によりましては、これまでもこれはございましたが、予算の減額というケースもあり得るものではございます。
以上でございます。
58: ◯健康福祉局長(上田昌孝)私からは、介護予防等に関する数点の御質問にお答えを申し上げます。
まず、介護予防の取り組みとその課題についてでございますが、これまでお元気な方を対象として介護予防教室の開催や地域で運動などに自主的に取り組んでいただく介護予防自主グループの活動支援など、また生活機能が低下している方には運動機能や口腔機能の向上プログラムや訪問指導を実施してまいりました。
介護予防に関心の低い方の存在や介護予防に取り組むことのできる場が十分でないといった課題もありますが、保健福祉以外の分野とも連携しながら、介護予防の重要性についての啓発や気軽に取り組むことのできる機会の拡大を図ってまいりたいと考えております。
次に、介護予防を総合的に推進するための連携についてでございますが、議員御指摘のとおり、加速度的に進展する高齢化に対応するためには、保健福祉分野のみにとどまらず、各種施策との連携した幅広い介護予防の取り組みを実施していくことが必要と考えております。このため、新年度から設置する介護予防推進室が中心となって、総合的な介護予防の取り組みを推進していくための新たな計画を策定したいと考えております。
策定に当たりましては、関係機関や有識者の方々により構成される(仮称)介護予防推進委員会で検討するほか、庁内においても各関係部署の参画を得て、幅広く連携を図りつつ進めてまいりたいと考えております。
次に、介護予防施策の新たな取り組みについてでございますが、本格的な取り組みは平成二十三年度以降と考えておりますが、まずは新年度の新規事業として、演劇を活用した生きがいづくり支援と介護予防の普及啓発を計画しております。これは、高齢者が高齢者を取り巻く今日的課題をテーマとした演劇に出演者やスタッフとしてかかわることにより、生きがいづくりを促進するとともに、広く介護予防の普及啓発を図るもので、来年度中の上演を目指して進めてまいりたいと考えております。
最後に、認知症対策についてでございますが、これまでより多くの方々に認知症について理解を深めていただくため、認知症サポーター養成講座を開催しておりますが、新年度は、認知症についての理解を若い世代にも広げるため、この講座を小学校、中学校でモデル的に実施することを計画しております。また、地域包括支援センターを中心に民生委員、町内会、地区社会福祉協議会などの地域の方々に御参加いただく担当圏域包括ケア会議などを通じて、認知症の方も含めた高齢者を支援するためのネットワークの形成が図られてきております。
こうした活動をさらに発展させるため、市内五つの地域包括支援センターの担当圏域で認知症の地域資源マップを作成し、認知症に関する情報を地域住民に提供するとともに、作成過程を通じて関係者間のネットワークの形成強化を図り、地域で支える体制づくりにつなげてまいりたいと考えております。
以上でございます。
59: ◯副議長(渡辺公一)この際、時間を延長します。
60: ◯子供未来局長(細井実)私からは、子育て支援について、市長が御答弁申し上げた以外の御質問にお答え申し上げます。
まず、子ども手当の支給に向けたスケジュールなどでございます。
法案が成立いたしましたならば、新年度に入ってから具体的な制度や手続などについて、対象となる方にお知らせをしてまいりたいと考えてございます。
申請書類は、郵送または区の窓口において受け付けいたしまして、その審査を行った上で、六月中旬に第一回目の支給を予定しております。平成二十二年度中の支給月は、六月のほか、十月、二月の三回が予定されております。六月においては、四月、五月分の手当が支給される予定でございます。
なお、従前から児童手当を受け取っている方につきましては、二月、三月分の児童手当もあわせてそのとき支給するということでございます。
次に、児童扶養手当の父子家庭への支給でございますが、まず、所得制限に関しましては、現行の母子家庭に対する支給と同様でございまして、例えば扶養親族一人の場合、二百三十万円が所得制限限度額となります。また、対象につきましては、約五百名程度を見込んでおるところでございます。
次に、支給に向けたスケジュールでございますが、改正法の施行は、本年八月に予定されてございまして、八月から十一月までの二カ月分を十二月に支給する予定となってございます。新年度に入りましてから広報等を行っていく予定としておるところでございます。
次に、ひとり親家庭等に対する就業支援でございます。
母子家庭等就業・自立支援センターにおきましては、平成二十年六月の開設から本年一月までで延べ千四百四十六件の就業相談を受け付けております。また、就業相談の受け付け者数五百五十三人のうち、就業支援バンクに登録のあった百五十六人の方に求人情報を提供したところ、八十八人の方が就職に結びついてございます。
また、ひとり親家庭のための合同就職説明会でございますが、ひとり親家庭に理解を示す企業に出展いただき、求職者及び転職希望者を対象とした企業との面談会を実施するものでございまして、ひとり親の就業による自立支援を促進してまいりたいと考えているところでございます。
開催に当たりましては、積極的に広報を進めることにより、出展企業をできれば二十社程度確保してまいりたいと思っております。また、百名程度の方に御来場いただきたいと考えておるところでございます。
次に、子育て支援に関する御質問のうち、育児サークル等の活動の関係でございます。
育児サークル活動等は、母親同士が行う活動でございまして、地域における大きな支援策となっていると考えておるところでございまして、新年度におきましては、育児サークル活動のさらなる活性化を図るため、活動に役立つ知識や情報を盛り込みました子育て支援活動ハンドブックを作成するとともに、子育てふれあいプラザにおきまして、サロンなどのサークル活動を支援するための備品等の貸し出しを行ってまいりたいと考えてございます。
また、研修会や交流会などを積極的に開催しまして、子育て支援者の連携を深めまして、ネットワーク化を進めるとともに、活動の活性化に寄与してまいりたいと考えているところでございます。
次に、父親の育児参加の推進でございます。
少子化や核家族化が進む中で、お父さん、父親にも子育てに参加していただきまして、子育ての喜びや悲しみ、あるいはまた、ときには苦しいことがあるかもしれませんが、そういうことを分かち合っていくことが求められていると考えてございます。
新年度におきましては、新たに子育てふれあいプラザにおいて、特に父親が参加しやすい休日を中心に父親の育児教室などを積極的に開催してまいりたいと考えてございます。
次に、家庭保育福祉員の今後の予定についてでございます。
家庭保育福祉員制度につきましては、保育に意欲のある、より多くの市民の方々に御協力いただくということから、今年度から資格要件を緩和して募集を行いました。そして約一カ月の保育所実習を含めて研修を実施し、今回、新たに十二名の家庭保育福祉員を認定したところでございます。これにより、家庭保育福祉員の数は本年四月では全体で三十八名となりまして、定員では百九十名まで受け入れが可能となる予定でございます。
今後も計画的に増員を図ることにしておりまして、緊急整備計画においては、平成二十三年度当初には家庭保育福祉員が五十名となり、定員が二百五十名となる予定でございます。
次に、両立支援アドバイザーの派遣事業でございますけれども、委嘱しております社会保険労務士が、一昨年の九月の事業開始からことしの一月まで、延べ三十社余りの企業に対しまして、次世代育成法による一般事業主行動計画の策定に関しますこととか、短時間勤務にかかわる育児・介護休暇規程の改正に関すること、また男性社員の育児休業の取得などについての相談、助言などを行ってまいりました。
今後につきましては、企業、NPO、行政などから成ります、仮称でございますが、仙台市次世代育成支援関連企業懇談会を来年度より設置いたしまして、企業の両立支援の取り組みの現状などを伺いながら、仕事と家庭の両立支援の実現に向けまして、本市のみならず、この地域として取り組むべき課題を総合的に検討してまいりたいと考えてございます。
次に、病児保育に関する御質問でございます。
まず、すくすくサポート事業につきましては、今年度から病気回復期の預かりを始めたところでございますが、今後、病児についても対象としてまいりたいと考えてございます。
現在、仙台市医師会と実施に向けての課題等について協議を進めておるところでございまして、その後、医師会と連携、協力体制を構築した上で、協力会員に対し研修を行うなど準備を進めてまいりたいと考えているところでございます。
次に、病児、病後児保育の実施施設の増設についてでございますけれども、その検討状況でございますが、本市といたしましても未設置である若林区の利便性の高い地区への設置を検討してまいりたいと考えておるところでございますが、設置していただくためにはさまざまな課題がありますことから、現在は関係する方々と協議を進めているところでございます。
また、低所得者の方々への配慮から、新年度から新たに生活保護世帯と市民税非課税世帯の方々につきましては、申請に基づき利用料金を全額免除する制度を設ける予定でございます。
父子家庭への児童扶養手当の支給についてでございますが、八月から十一月までの四カ月分ということでございまして、失礼させていただきます。申しわけございませんでした。
以上でございます。
61: ◯副議長(渡辺公一)お諮りいたします。本日の会議はこの程度にとどめ、延会したいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
62: ◯副議長(渡辺公一)御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、本会議は、来る三月一日、定刻再開の予定であります。
本日はこれをもって延会いたします。
午後五時七分延会...